崖の上のポニョ

崖の上のポニョ

崖の上のポニョ


意味が解らない。
マインドゲームが好きな人は、ポニョも好きなんじゃないかな? って思う。
そういう、意味の解らなさ。

あのシーンは母性がどうの、このシーンは子供の成長がどうの、トンネルは産道を表していて…と意味づけを行うことは可能だと思う。もう、あっちこっちに、考えるためのネタが仕込まれているようにも見える。
でも、それがいったいなんになるの? この映画を見て、ごちゃごちゃ理屈を並べ立てて、腕組みをして納得して…。そういうの、気持ちいいってことも、解るよ。解らないものの事を考えて、自分なりの結論を出して納得することは、すごく気持ちいい。他の人と意見をぶつけ合って、テーマとか考えて。楽しいよね。わたしもよくやるよ。

でも、ポニョを見てそれをすることって、どうかな? 必要ないんじゃないかな。
したい人はすればいいし、そうすることを否定もしないけど、わたしはいらない。わたしには解らない。

「人面魚!」って言われたとたん、ああ、そっか! って思った。いいんだ、この映画は、ごちゃごちゃ考えるのやめよう、って思った。その一瞬前、「きれいな金魚ねえ」とか言ってるときには、魚に人間の顔がついていても普通に受け入れられる世界なのかなあ、って納得しようとしていた。明らかに気持ち悪い(※)のに、いいんだ…って。
その時点ではわたしにはまだ疑問があって、一生懸命世界観を受け入れようと準備してて。そんな心構えをしているところへ「ギャー! 人面魚! コワイコワイ!」なんだよ。ああ、こりゃあもう、考えるの無駄だー! って思うじゃない? 人面魚の金魚で、海に住んでるけど真水でも対応できて、魔法が使えるし、人間になる。そういう生き物で、そういう世界で、理屈なんかない。意味なんかないんだ。

赤ちゃんを目の前にしたときのポニョの反応とか、ぐずる赤ちゃんのぶっさいくなかんじとか、もう、ものすごくリアルな子供の反応だなって思う。子供のいないわたしですら、そう思うんだから、子供のいる人は、もっと現実味を帯びて感じるのかなって思う。こういう細やかなリアリティが、全体の不可思議さをいっそう強調する。内臓や血糊が良く出来ているスプラッタ映画が怖いのと一緒だと思う。

わたしがなによりも、やってくれた!! と感動したのは、半魚人状態のときのポニョの手足! いまや決して許されることのない三本指! トンネルを抜けるときの、だんだん手が「萎えていく」あの描写! こんなの、もう滅多に見られるものではない。本当によくやったなあと思う。

フジモトがグランマンマーレに逢ってから、なんかごちゃごちゃ言うじゃない。ちょっとセリフ忘れちゃったけど…。とにかく理屈っぽい説明っぽいことをごちゃごちゃ言ってるとさ、グランマンマーレが、ふわーって大きな手で包んで、黙らせてしまう。フジモトは説明要員としても居るっぽかったし、しょっっちゅうあれこれ言っていたけども、ふわーって包まれて、気持ちよさそうに黙ってしまう。ぐだぐだごちゃごちゃ考える人たちも、ふわーって包まれちゃえばいいんだと思うよ。

崖の上のポニョ
※:ポニョのデザインに関しては、いっちばん最初に出てきたときは気持ち悪いなあって思ったけど、動き始めたらすぐに可愛くて可愛くて。

あと、動きとか画面の美しさに関して何も書かないのは、もうあえて言うことないから。

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評価

by G-Tools , 2014/07/16

ゲド戦記

ゲド戦記

ゲド戦記


登場人物が、正面顔か横顔か後ろ姿しか見せない。動きの乏しさも手伝って、どうにも偽物感が漂っている。なにより、アレンの顔が怖すぎる。劇場公開時に、知り合いが「楳図かずおの絵みたいだった」と言っていて、そのときはどういうことなのか全く解らなかったのだが(だって…想像できないでしょ?)今は解る。うん、楳図かずおの絵みたいだった…。

合間合間に入るトトロのCMに心癒されました。しみじみとトトロのレベルの高さを…CMからでも漂うワクワク感を…感じずには居られない…。

テルーもアレンも暗すぎて、精神的に治療が必要な人なのか、先天的に精神の欠陥がある人なのかと思いました。特にアレンは、即入院した方がいいレベルのご病気の方なのかと…。殺人に関しても、「なんであんなことしたかわからない」とかなんとか言ってしまっていたので、これは逮捕されても心神喪失で無罪だなあと思いました。

会話らしい会話をしていないのに、突然、映画のテーマ的なものを語り出してしまうため、話の内容は良く解らないのに、「伝えたいこと」だけは解るというおかしな状態に。これが心に響く訳ありませんね。
デビルマンもそうだったように、会話をするのではなくセリフをしゃべるのはどうにもダメですね。ミュージカルならセリフでもいいんだけど。

1つだけ良かったのは、クモの腕がスパーンと飛んで、切株もちゃんと見えたことです。良い切株か? というとそうでもないけど、あるだけマシ!

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評価

by G-Tools , 2014/07/16

パプリカ

パプリカ

パプリカ2006年/日本/今敏


非常に解りやすく、テンポ良く話が進む。さらっと見られる作品だったと思う。

スクリーンと客席との間に、観客側がどうにかして踏み込もうとしても踏み込めない距離感を感じた。こちらの干渉を許さないし、干渉してくる部分もない。
見終わったときに「映画を見たなあ」と思った。

扱うテーマが内面的なものであるのに、キャラクターの内面があまり描かれておらず、せりふが状況説明に終始しているように思えた。それゆえの解りやすさなのだが、同時に一切の感情移入を許さない頑なさを感じる。
キャラクターが自分の感情を吐露する場面であっても、どこか他人事のように「せりふを喋る」。
抱えたトラウマを克服する者、愛に気付く者、自らの欲望に飲み込まれていく者、自分自身と向き合い、人生を変えていく物語であるにも関わらず、キャラクターに中身がない。
彼らは、演じる役を与えられ、それをそつなくこなす「役者」だった。感情面でのリアリティに欠けるため、「役者がセットの中で物語を演じていた」ように思えたのだ。

「他人の夢がスクリーンに映し出される」何度か出てきたシーンをそのまま映画館で見せられている感じ。
だから、映画の内容としてはまったく間違っていないのだろうし、作品として成功しているのだろう。

「久しぶりにすげえ夢を見たよ」でも、現実じゃない。あの世界に自分が身を置いたらどうなるだろう?という想像をも拒否する非現実感。その非現実感も、誰もが感じることができる現実の世界を分解して再構成した程度のもので、想像の範囲内で納まってしまっているように思う。
最大公約数的な非現実感、という感じ。ピンクの象が出てきたとき、それを最も強く感じた。

どこか釈然としない思いがあるのは、あまりにも綺麗にまとまりすぎていて、驚きや感動が薄まってしまっている点にあると思う。内容が内容なのだから、もうちょっと無茶な部分があっても良いのではないか。見る者の感情を、もっと手酷く揺さぶっても良い、揺さぶって欲しかったと思う。
ここまで完成度が高いのに、あと一歩が踏み出せないのはもったいない。

今敏監督の作品を見たのは今回が初めてなのだが、随分生真面目なひとなのだなと思った。丁寧で、几帳面で、善意に溢れている、控えめで臆病で、生真面目なひと。

自分の夢を見ることが必要なのは、監督自身なのかも知れないと思う。

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評価

by G-Tools , 2014/07/16

スキャナー・ダークリー(A Scanner Darkly)

スキャナー・ダークリー

スキャナー・ダークリーA Scanner Darkly/リチャード・リンクレイター/アメリカ/2006年


原作があまりにも好きすぎるので、過剰な期待を抱きつつ鑑賞。ストーリーは原作に忠実で、余計な付け足しがなくてほっとした。
幻覚表現やスクランブルスーツの表現が秀逸で、ほんとうに、実写じゃなくてよかったと思う。もし実写だったとしたら、どうしても「実写部分」と「CG部分」との違和感をぬぐえなかっただろう。その違和感が感情移入の邪魔をするだろうなというのは容易に想像できる。

しらふのときには絵柄がはっきりしていて、そうではないときには線もぐんにゃりするし色も変わる、「ウェイキングライフ」のときと比べると画面のゆらぎがかなり少ないぶん、メリハリがついていて非常によかった。とにかくよかった、としか言えない。

スキャナー・ダークリー
バリスは本当にいやな奴だし、フレックの挙動不審っぷりも、ラックマンのはっちゃけっぷりもよい。キアヌはぼーっとしてるから、アークターが「だんだんわかんなくなっちゃっていく」かんじにはまってると思う。

アークターが、真実を知って完全にわからなくなっちゃっていくところから、ラストにかけてはもう、泣けて泣けて仕方ありませんでした。絶対泣いてしまうのは解っていたけど、それにしても酷く泣いた。
ストーリーが完全に原作どおりだったとしても、映像のせいで感情移入が出来ないかもしれないと思っていたが、全くの杞憂に終わった。今年最高の映画。


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ワーナー・ホーム・ビデオ 2008-06-11
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by G-Tools , 2012/08/21

ほしのこえ

ほしのこえ the voices of a distant star

ほしのこえTHE VOICES OF A DISTANT STAR/新海誠/2002年/日本


1人で作られたとても質のよいアニメがあるということだけ知っていたのですが、なんかタイトルから勝手にジブリみたいなのを想像していたら、全く違って驚きました。勝手に想像しておいて驚いたもなにもないんだけどね。

地球と宇宙との遠距離恋愛というのは、誰かが思い付いていてもおかしくないものであるし、私が知らないだけで他にもあるのかもしれませんが、圧倒的な画力(主に背景)と細かい設定などで、実に説得力がある作品になっていると思います。

主人公2人以外の登場人物がいない(ちらっと出てはくるけれども話さないしディテールはわからない)ためか、話は宇宙を舞台にしているにも関わらず、妙に閉鎖的な印象を受けました。もちろん星も建物も空も綺麗なのだけど、2人が携帯メールでコミュニケイトするのを主に描いている為に、あたかも世界には2人だけしかいないように思えます。

2人の台詞も、ほとんどが自分の思いを吐露しているだけで、独り言に近いです。全編に流れる物悲しさや寂しさは、一歩間違うとあざとく映ってしまう危うさを抱えていますが、この作品では非常に上手に表現されていると思います。制作者の思いがあまりにも強く表現されていて、見る人をたった25分間でその思いに引きずり込む力が、歪みとすら感じられました。

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ほしのこえ [DVD]
コミックス・ウェーブ・フィルム 2002-04-19
評価

by G-Tools , 2014/07/16

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