キラー・インサイド・ミーTHE KILLER INSIDE ME/2010年/アメリカ・スウェーデン・イギリス・カナダ/マイケル・ウィンターボトム
ごめんね、痛いよね。すぐ終わるから大丈夫。愛してる。俺だってつらいんだ。もうすぐ楽になるよ。ひどいよね、びっくりしたよね。愛してる、さようなら。
1940年代のテキサス、悪党もいないのどかな田舎町。男前で親切で紳士な保安官、ルー・フォード(
ケイシー・アフレック)には、教師であるエイミー(
ケイト・ハドソン)という恋人がいた。結婚するかしないか曖昧なところで、特に文句はないんだけどどうかなあ、このままでもいいなあという感じ。
ルーはある日、町外れの一軒家で売春しているジョイス(
ジェシカ・アルバ)を訪ねる。上司から
「地味にやってる娼婦だけど牧師連中がうるさいんで。逮捕してもいいし追い払ってもいいよ」と言われたのだ。
ルーがジョイスに
「町から出ていきなさい」と告げると、ジョイスはとつぜん彼に平手打ちをする。かっとなったルーはジョイスをおさえつけ、ベルトで激しく彼女を打ち付ける…のだが、彼女がおとなしくなると急に
「ごめん! 悪かった。ほんとごめん」と謝る。そしてなぜだか盛り上がってしまったふたりはセックスをし、そのまま付き合い始める。二股である。
こんなふうに明るい映像と明るい曲で、映画は始まる。
しかし、ルーが、町を支配している建築業社長チェスター・コンウェイ
(ネッド・ビーティ)に
「あの娼婦をなんとか追いだしてくれ。うちのバカ息子(ジェイ・R・ファーガソン)が入れ込んでて迷惑してるんだ」と言われたあたりから、雲行きがあやしくなる。
ルーはある夜、ジョイスの元へ行く。そして、ひとしきりセックスを楽しんだ後、彼女をぼっこんぼっこんに殴って殺してしまうのだ。それはもう、壁まで吹っ飛び顔が変形するくらい殴る。
「ごめんね、愛してる」と言いながら…。