ミスト(THE MIST)

The Mist

ミストTHE MIST/フランク・ダラボン/2007年/アメリカ


▽慣れとは、こうも恐ろしいものだったのか。
モンスターの造形はさほどグロテスクでもなく、目新しくもない。
他人同士が閉じ込められ、仲たがいし、協力しあい、モンスターと戦い、そして命を落とす。

どこかで見たかもしれない、よくあるかもしれない、そんな映画だ。
そんな映画のはずなのに、明らかに違う。未知のものが、見る者をじわりと襲う。

この映画のモンスターは異常に怖い。握り締めた腕に爪の痕が付いた。
そりゃ、大きくてわけのわからない生き物が襲ってきたら「怖い」のは当然だ。
でも、いろいろな映画を見て、モンスターに慣れてしまっていた。
だから海外版トレーラーを見たときも、なぁんだ、と思ってしまっていた。甘かった! 確実に不快感を煽ってくる。嫌な動きをする。

映画にはテーマがあり教訓があり、正しい人物と間違った人物がいて、真実は最終的に解り易く明らかにされる…そんな慣れ、そんな思い込み。
ミストは巧妙にそれを覆す。

誰が正しいか? 誰も正しくない。間違っていたのは? きっと全員だ。こうなった原因は? 異次元の扉? でもそれは下っ端軍人の噂でしかない。軍人が言っていたってだけで信じるの?危険だよ。
神様はいるの? ううん、神様はいない。この映画を見て、神様に逆らっちゃいけないんだねなんて言う人は、気をつけて。あなたはあの状況下に置かれたら、軍人を刺し担ぎ上げて生贄にしてしまうタイプだよ。

The Mist▽「解決法を口にする人を信じてしまう」
宗教狂いのキチガイ女は、虫に嚙まれる覚悟をするが、嚙まれない。生贄を捧げた日の夜は、彼女の言うとおりにモンスターが襲ってこなかった。偶然が重なった結果、多くの人が彼女を信じた。

主人公は、積極的に動いてみんなを率いる。薬局へ行き、犠牲者を出しつつも戻ってくる。車に乗り込み、スーパーを離れる。やはり犠牲者は出るが、主人公は無傷だった。偶然が重なった結果、多くの人が彼を信じた。観客も。

主人公がたびたび行う決断には、間違いも含まれていたはずだ。
でも、信じてしまう。だって、主人公だから。
▽本当に怖いのは人間か?
本当に怖いのは、観る者の経験から来る慣れと思い込みだ。
「本当に怖いのは人間だっていうテーマの映画だ」という思い込み。
主人公は間違わないという思い込み。子供は死なない、という思い込み。

最後、ぐったりした。悲しくて、痛みが伝わってくるようで、つらかった。
エンドロール、ヘリと戦車の音。どうにもならない、どうしようもない絶望感。
いつもなら…いつもならエンドロールでは、タイアップ曲がけたたましく流れるのに。
バッドエンドだったとしても、いつもならこんなにダメージを受けないのに。


誰も救われない。

The Mist
▽お気に入り笑いどころリスト
・最初の夜の戦闘がパニックすぎて面白かった。光を消せ!って言ってるのにバチバチつけちゃう人はいるわ、ライターの火はなかなかつかないわ、ついたらついたで燃え移っちゃうわ、もうたいへん!
・さえない中年男にかっこいい見せ場があるとときめく。射撃チャンピオン。
・薬局でのおじいちゃんおばあちゃん大活躍がステキ。特におばあちゃんかっこいい!
・ジムの頭の悪さには失笑を禁じえない。
・今日のセサミストリートは贖罪
・首吊り自殺した2人はカップルなのかとおもいました。
・牛乳飲みつつナイフを頭上に掲げてゆったりと椅子に座る宗教狂いのキチガイ女、の図がおもしろすぎた。あそこは最後の笑いどころ…。

photo
ミスト [Blu-ray]
フランク・ダラボン
ポニーキャニオン 2009-09-02
評価

by G-Tools , 2014/07/16

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