永遠に僕のもの/愛に出来ることはまだあるかい?

永遠に僕のものEl Angel/監督:ルイス・オルテガ/2018年/アルゼンチン・スペイン


恐ろしくピュアな恋物語


新宿武蔵野館 スクリーン1 H-7で鑑賞。新しくなった新宿武蔵野館に初めて行きました。あんまり武蔵野館行かないからね……。

あらすじ:盗むし殺します。

ネタバレしています。
本文中、ネタバレの前には注意書きをしています。

おすすめ
ポイント
この邦題、つけた人、偉い!
宣伝でBL作家がイラストを描いていたので、どうかなあと(宣伝でBL感を押し出しすぎるのは、人に先入観を抱かせるのではないかと)思っていたのだが、観てみたら見事にBLだった。いわゆる「公式が最大手」ってやつ。今はもうこんな言い方しないのかな。

1971年、アルゼンチンで12人以上を殺した連続殺人犯をモデルにしたという今作。どれくらい脚色されているのかはさだかでないが、元になった実在人物がいるということで、カテゴリはここにした。ペドロ・アルモドバルが製作に関わっているため、もっとフェチっぽい描写があるかと思いきや(あるにはあったが)そのあたりの描写は最小限に抑えられている。

予告も観ておらず、ポスターと、会社の人が強くおすすめしてくれたという理由で観に行ったわけだが、Twitterを薄目で見ていて知っていた情報としては、どうやら睾丸がモザイクなしで出るらしいぞということだけで、まんまと私も鑑賞直後のツイートが睾丸についてだった。書いたらいけなかったかな。ごめんね。
睾丸にモザイクをかけないことだけでR15+になっていると思われるが、いやあ映倫というのは不思議なところだなと思う。以前『ひつじ村の兄弟』(2015年)(おじいちゃんの全裸が出てくるためR15+)の配給さんから、別の映画では乳児の裸が出るという理由で年齢制限をかけなければならなかった、という話を聞いたことがあり、線引きはいったいどこにあるのかわからない。

睾丸から離れよう。あのカットには何の意味もないか、もしくは同性愛のメタファーかなんかだったんだろう(それにしては、あまりにも直喩すぎるか)。ともかく、そんなに長く文章を割いて語るべき部分ではない。まろびでていた。それだけです。

※以下ネタバレを含みます。

兎にも角にも色彩設計と音楽が良く、分類するならばオシャレ映画に入れられそうである。内側が真っ赤のクルマとかかっこいい。何の気なしに置かれたようなクッションひとつの鮮やかな赤が画面を引き締めているようにすら観えてしまう。主人公カルリートス(ロレンソ・フェロ)は、のちに相棒として盗みを働くようになるラモン(チノ・ダリン)に「一目惚れ」をする。殴られて惚れるとは、まったく困った子だな。この物語を同性愛から切り離してとらえるのは大変むずかしいように思うが、しかし、同性愛的な描写もフェチ描写と同様に最小限のものであった。もっともフェチっぽい描写は、これもTwitterでちらっと見ていた「宝石男体盛り」、あと、カルリートスの唇のアップくらいか。

カルリートスとラモンは、双子の姉妹と親しくする。双子の人には失礼な言い方だが、極端なことを言ってしまえば、1人の女を男2人でシェアしているようなもので(双子の人、本当にごめんなさい。作劇上の話をしています。現実とは違うのは解っている)、しかし、彼らが例えば乱交をするとかいうようなことはない。ジーンズの上から性器を触られる、程度の可愛いもので済まされている。しかも途中から双子は出てこなくなり、彼女らは主人公らが通り過ぎるだけの存在だったのかなとも思う。それを言うならばゲイの金持ちも一緒で、彼がラモンに口淫をしているところをカルリートスが覗くシーンなんかは、カルリートスの嫉妬心を描くためのもの、と、これはどうかわからないがラモンも同性愛に対して激しく拒否するわけではない、あるいは彼も同性愛者であるということを表しているのかなと思う。思う、という、もやもやとした言い方しか出来ないほどには、直接的な描写が少ないというわけ。

永遠に僕のもの』という、じゃっかんポエムっぽい邦題が突然活きてくるのが、交通事故のシーンだ。カルリートスがラモンを愛している、ということが明確すぎるほど明確に伝わるシーンであり、また、それはこのピュアすぎる恋愛の終わりを表してもいる。カルリートスは、一方の手ではただ金のためだけに人を殺し、もう一方の手では深すぎる愛のために人を殺す。愛はあった、ただ、一方的だった。もしくは、相思相愛であったが、一線を超えられなかった。ゆえに、命を奪うことで相手を「永遠に」自分のものとしてしまう。知り合いの顔をバーナーで焼くような残酷さを持ちながら、殺す以外に愛情を表現できない異様なピュアさを持ち合わせているのが、カルリートスである。奪うこと。彼が盗みを働くのは、安易な言い方になるが、奪うことでしか生を実感できないのだろう。彼は強盗の最中に言う、「人生を楽しもう」と。

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