スパイダーマン:スパイダーバース/大丈夫、仲間がいる

スパイダーマン:スパイダーバースSpider-Man : Into the Spider-Verse /監督:ボブ・ペルシケッティ、ピーター・ラムジー、ロドニー・ロスマン/2018年/アメリカ


宇宙も、家族も、救ってみせる


TOHOシネマズ日比谷 スクリーン4 N-26 IMAX3Dで鑑賞。第91回アカデミー賞 長編アニメーション賞受賞作品。調べず印象だけで書くけど、長編アニメーション賞っていつもディズニーかピクサーが獲っている気がして、『インクレディブル・ファミリー』(2018年)か『シュガー・ラッシュ:オンライン』(2018年)に行くんだろうなーと思っていたら『スパイダーマン:スパイダーバース』が獲ったので、あ、出来レースじゃないんだ、期待値あげてこ! って思ってガン上げして行きました。

あらすじ:色んな次元のスパイダーマンが集合する。

ネタバレしています。
本文中、ネタバレの前には注意書きをしています。オチが分かるネタバレはありません。

おすすめ
ポイント
スパイダーマンのこと全然知らなくても大丈夫、優しい作り。めちゃめちゃ泣いちゃうからタオル持っていこう。
私は今まで見たバットマン映画の中で『レゴバットマン ザ・ムービー』(2017年)が一番出来が良いと思っている。そして今まで見たスパイダーマン映画の中で一番出来が良い作品が現れたと思う。もちろん他のバットマン映画や他のスパイダーマン映画が悪かったという意味ではない。

蜘蛛にかまれて特殊な力を手に入れた少年マイルス・モラレス(シャメイク・ムーア)は、自分の力をうまく制御出来ずにいた。ある日、特殊な装置によって時空が歪められ、他の次元で活躍しているスパイダーマンたちがマイルスのもとに集まってしまう。長年スパイダーマンとして活躍してきたピーター・B・パーカー(ジェイク・ジョンソン)から、力の使い方を教わるマイルスだったが……。

昨今はCGが発達しているから実写映画でもアニメーションのような演出ができる。とはいえ、アニメーションにはアニメーションの強みというものがあると思っている。例えば役者に引っ張られないとか、画作りを完全に制御できるとか、自在なライティングとか。『スパイダーマン:スパイダーバース』の場合、様々な次元からスパイダーマンが集まるという点において、アニメーションならではの描かれ方だな、アニメーションでしか出来なかったなと思う。ピーター・B・パーカーのスパイダーマンと、スパイダー・グウェン(ヘイリー・スタインフェルド)は実写でもそのままいけるが、スパイダーマン・ノワール(ニコラス・ケイジ)は白黒世界の人だし、ペニー・パーカー(キミコ・グレン)は完全に二次元の人、スパイダー・ハム(ジョン・モラニー)に至ってはブタだ。いやいや確かに、たしかにね、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』(2014年)にはアライグマと木が出てきます、実写でもそういうことやってますけど、スパイダー・ハムをロケット・ラクーンみたいには描けないんですよ。あいつカートゥーンなんだよ。

展開が早く、起承転結のバランスが良く、無駄なものを極限まで削ぎ落とした感がある。その一方でひとつひとつの言動に深みがある。マイルスの変化についてとか、言い出したらきりがないほどにすべてに意味があって味わい深い。あまりこういうふうに感じたことは今までにないが、体感時間は30〜40分くらいだった。そう感じるのはテンポが良いからだと思う。余韻は最後にとっておけばよいから、とにかく話、進めていこ! みたいな……。とはいえ理解が追いつかないわけでもない。話は簡単、テーマは明確、ケレン味もきいているし、力が強い。

これからネタバレを書くが、その前にちょっと気になったこと。異様に「42」という数字が出てきて、これなんなんでしょう? わざとだと思うが、「42」って言ったら『銀河ヒッチハイク・ガイド』(2005年)しか思い浮かばないよ。やたら「42」が出てきた理由をご存知の方、いらしたら教えて下さい。調べたら、「"42" is the specimen number of the spider that bites Miles in the comics.」って出てきたけどそういうことじゃなくてなんでそれが「42」なのかっていう、なんで? 意味があるはずだよね。知りたい。

※以下ネタバレを含みます。オチバレはありません。

悪役キングピン(リーブ・シュレイバー)も良く、彼は「家族に会いたい」という心の中に秘めた小さな願望を叶えるためだけに行動している。この物語は家族、特に父親との愛がテーマにもなっており、それはもちろんマイルスにも当てはまる。ドア越しの一方的(にならざるを得なかった)な会話に落涙する。父親(ブライアン・タイリー・ヘンリー)とマイルスの間に誤解や仲違いはないが、思春期の子供を持った親が、変わりゆく子供に対してどのように接すればよいかわからないがゆえに愛情の向け方をちょっとだけ間違えてしまう様子、間違えているという言い方は違うかもしれないがともかく、ハグやキスを嫌がるようになった子供に対して父親ができる精一杯の愛情表現が胸を打つのだ。それに対するマイルスの答え、ラストに発する一言がまた、涙腺をぎゅうぎゅう押してきて涙が自動的に出てしまうわけ。これずるいよ……。でもそのずるさに浸りたいんだよ……。泣かせにかかってくる映画に出会ったら、もうなすがままに泣くのが一番良いのだと思ったね。

マイルスの理解者である叔父アーロン・デイビス(マハーシャラ・アリ)とマイルスの関係性、親友とも言えるそれは、のちのち悲劇のもとにもなってしまう。スパイダーマンの物語に喪失はつきものだし、叔父さんが出てきた時点でちょっと嫌な予感もするわけだが、彼の処理の仕方は納得がいく、無駄なものでないと思う。みんなも言ったでしょ、『スパイダーマン』がリブートされるたびに「またベン叔父さんが死ぬの?!」って。「もういいよ、ベン叔父さん死ぬの見たくないよ」って。アーロン叔父さんはベン叔父さんとは違ったから良かったよ。

そしてスパイダーマンといえばメイおばさんだが、今作のメイおばさん(リリー・トムリン)は、かっこよさが異常。振り切れてかっこいい。そうきたか! って思う。また、ドック・オク(キャスリン・ハーン)もちょーかっこよい。そういえばメイおばさんがドック・オクのこと「リズ」って呼んでいたから、彼女らは友達なんだよね? メイおばさんはリズがドック・オクだって知っているのかな。分かる方いらしたら教えて下さい。知っているか知らないかで印象がぜんぜん違ってくる。

というわけで、これもう一回見て感想追記していきたいなーと思う、スパイダーマンがみーんな強くてかっこいいし、スパイダーマン・ノワールがルービック・キューブ持ってるのめっちゃかわいいし、色味がおしゃれでセンスを煮詰めて作ったみたいなかんじだし、とにかく涙がぼろっぼろ出てきて困っちゃうし、満……足……!

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