作家、本当のJ.T.リロイ/偽りのベストセラー作家

作家、本当のJ.T.リロイ

作家、本当のJ.T.リロイAuthor: The JT LeRoy Story/監督:ジェフ・フォイヤージーク/2016年/アメリカ


J.T.リロイについて本人が語るドキュメンタリー映画


マスコミ試写で鑑賞。公開は4月8日です。騒動の元になった本は未読、映画も未見です。

あらすじ:ベストセラー作家は実在しませんでした。

キャスト
  • ローラ・アルバート
  • ブルース・ベンダーソン
  • ウィノナ・ライダー

ネタバレしています。特に注意書きはしていません。

おすすめ
ポイント
成功するということ、また、信用されるということは、どういうことなのかなと思ったりします。
娼婦の息子として生まれ、自らも男娼となり街に立ち、母親の恋人から性的虐待を受けたことによりHIVに感染。それでも生き抜いたサバイバーとして、自らの体験を元に書いた『サラ、神に背いた少年』『サラ、いつわりの祈り』がベストセラーとなった作家、J.T.リロイの物語である。
シャイな性格から、人前に出る時は金髪のカツラに大きなサングラスをかけていた。『サラ、いつわりの祈り』は2004年にダリオ・アルジェント監督の娘、アーシア・アルジェント監督で映画化もされている。
彼の正体は、ローラ・アルバートという女性であり、人前に出ていたリロイは、ローラの夫ジェフの妹、サヴァンナであった。

全編にわたって、ローラのひとり語りに過去の映像や写真、留守番電話などの音声などがインサートされるという作りで、若干だれる部分もある。語られるのは時系列順ではない。実際にどのように話されたものなのか判断がつかないが、話がとっちらかりがちな人なのかなとも思う。すでに正体が判明した状態からであるせいか、ローラはちょっと開き直り気味というか、「だって表紙にフィクションって書いてあるからいいでしょ、嘘ついてないもん」という態度だ。

人は一度信用を失うと、その後なにをしても再び以前と同じように信用されることはない。ローラも同じで、リロイについて作り話だったと判明しているいま、彼女が何を言ってもすんなりと受け入れるのは難しい。彼女の話を裏付ける証拠として、実際の映像や写真、電話の音声が大量に使われている。しかしローラが最後に語った、自分自身の幼少期のトラウマについては、証拠がないうえにショッキングすぎて、やはりこれも嘘なのかなと思ってしまう。

とにかく、資料が膨大にあって驚いた。特に電話の音声は本物なのか疑ってしまうほどに多い。ローラが悩みを打ち明けた医者に始まり、コートニー・ラヴビリー・コーガンガス・ヴァン・サントなどさまざまな有名人との会話が残されている。コートニー・ラヴは「コカイン吸ってもいい?」なんて言ったりしていて(その後で何かを吸い込むような音まではっきり聞こえてくる)、なんでこんなクリアな音声が残っているのか、なんで録音していたのか、めちゃくちゃ不思議だ。ローラの子供の頃の写真、映像もたくさん使われるため、もともと記録しておくのが好きなのかなという想像しか出来ない。

ビリー・コーガンについては、まったく迷惑をこうむったねとしか言いようがなくて、リロイ=ローラに振り回された人の中でも特に同情してしまう。私がビリー・コーガン好きなせいもある。ローラはビリーのホテルに行き彼にもたれかかって歌を聞いたと(その写真までが残っている!ビリーなにしてんだ!)話している。ローラはビリーにすべて打ち明け、捨てないでとすがりついたそうだ。いやはや迷惑な話だ。しかしビリーは「見捨てない」と約束していた。案外いい人なんだなというのがわかってとっても良かった。

実際に本を読んでいないのでその内容についてはなんとも言えないものの、なにしろベストセラーになっている、というのはすごいことである。そもそも本が売れなければこんなに問題になることもなかったのだし、有名人と関わりができることもなかったはずだ。バイアスがかかっているから「最初から騙すつもりだったんだ」と思うだけであって、始まりはそんなつもりなかったのだろう。ローラを見ていると、自分の周りのものを安易に使ってその場をしのいでいるようにしか見えず、想像力は貧困なように感じる。よくこれで本が書けたなとまで思ってしまう。それとも文章の上では豊かな表現力を持っているのだろうか。読まないことにはわからない。

photo
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ジェネオン エンタテインメント 2006-01-27

by G-Tools , 2017/03/29

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