『ラ・ラ・ランド』=宝塚、という見方について

ラ・ラ・ランド

ラ・ラ・ランドLa La Land/監督:デイミアン・チャゼル/2016年/アメリカ


ラ・ラ・ランド』について友達と話していたら面白い話になりました。

友人はフィルマークスにこの感想を書いたらしいのですが、私はフィルマークスをやっておらず読めなかったため、メールで全文送ってもらい、今回、転載許可を頂いたので載せることにします。プロのライターなので読みやすいよ。

ネタバレしています。注意書きはされています。
【宝塚】の世界は、日常から私たちを一気に別世界にトリップさせてくれます。一瞬現実を忘れて、舞台に集中できる瞬間は、大人になった私たちが手軽に現実逃避して、元気を貰える時間。私は、「この時間なくしては、生きてはいけない!」なんて思ってしまいます。

「そんなのなくても、人生は楽しい!」なんて人もおられるかとも思いますが、そんな方でもたぶんディズニーランドに行ったら楽しいですよね? 海外旅行に行ったらワクワクしますよね? 好きなアイドルのライブに行ったらテンションが上がりますよね?

【宝塚】も同じです。なんとなく、楽しくて、ワクワクできて、心躍る。ただ、それだけでまったく問題ありません。高尚なものを感じなきゃだめなんてことはありません。むしろ、そう思わせないように作ってありますから!

見なくたってまったく問題ないです。ただ、もしココロがメタメタになって、なにをしても心がウキウキしない、死にたい、消えたい、生きてる意味がよく分からない。そんな気分になったときに一度、【宝塚】を思い出して、勇気を出して行ってみてください。それでどうにもならなかったら、心のお医者さんにいきましょう。

と、ここまで読んで一体なんなんだ!? どこにも『ラ・ラ・ランド』について書いていない! と思われたかもしれません。そうなんです、なにも言いませんでした。なぜならそれは、『ラ・ラ・ランド』=【一般の方がとても見やすい作りになっている宝塚のような作品】だから。上の文章の【宝塚】の部分は、『ラ・ラ・ランド』に置き換えて読んでもなにも問題がありません。それくらい、『ラ・ラ・ランド』は控えめに言って、宝塚です。その理由を、これからご説明するので、すこしお付き合いくださいね。

トップ男役とトップ娘役を主体にした、分かりやすいストーリー


【宝塚】の良さは、主役が分かりやすく、主役を際立たせる物語しか爐笋蕕覆き疉饌罎噺世辰討皺畍世任呂△蠅泙擦鵝なので、安心して見られます。ハッピーエンドでもバッドエンドでもなんでも、主人公たちが軸になっているので、間違って途中でよそ見しても割と大丈夫。ただ、歴史ものの場合「あの人だれ?」みたいなことは起こります。それに比べて『ラ・ラ・ランド』は現代の物語で、登場人物が少なく、サブキャラクターはそんなに何度も出てきません。状況も分かりやすいし、語られることがストレート。【宝塚】よりさらに簡単なので、頭をからっぽにして楽しんでも大丈夫。後々「あのストーリー意味がわからない……」なんて思ってしまうこともありません。

ちょっと非現実的なキラキラと輝く世界を思いっきり楽しめる


豪華な衣装、素敵なセット、美しい人々。しかもみんなプロフェッショナル! だからこそ、ちょっとしたシーンが美しくて、華やかで楽しい。それが【宝塚】です。ただ、そこにつまづいてしまう人、いるんですよね。美しさが過剰すぎるというか……くどいというか……。でも、『ラ・ラ・ランド』は大丈夫。その辺いいバランスで抑え気味に仕上がっています。でも、よくよく見ればかなり豪華で素晴らしい舞台美術! 衣装も素敵だし、今っぽいのでワクワク楽しく見られるはずです。

気持ちは歌になり、照明になり、セットになり! 視覚と聴覚でココロが揺れる


現実世界では、誰かを好きになっても歌い出しはしません。悲しくなっても照明は暗くなりません。でも【宝塚】なら、視覚で聴覚でだれかの気持ちを感じられます。しかも、大抵それがストレート。難解な現代演劇のようなことはおこりません。楽しい曲でウキウキできるときは、主人公も自分もウキウキできる。悲しい色の照明を見たら、素直に悲しい気持ちなんだなと思えばいい。空気を察して生きていかなくてはいけない現代において、空気の方が察してくれる宝塚というのは見ていて楽ちん。そして素直に自分の心も揺れます。『ラ・ラ・ランド』も同じ。しかもかなり洗練されているので、ばかばかしさなどを感じず、すっと気持ちが揺れ動きすんなり感動できるでしょう。

とにかく曲がキャッチー! 終わった後にメインテーマを口ずさめる


【宝塚】の持ち味といっても過言ではないのが、これ。実はこれ、すごく大事です。メインテーマとなる1曲は、大抵恐ろしいほどに覚えやすい曲。イマドキの曲のようにおしゃれではないのですが、だからこそ、心に響く。初めて聞いた瞬間から、口ずさめるようになって、さびを心の中で一緒に歌えるようになります。これが、見ているときの満足感をむちゃくちゃ底上げしてくれます。『ラ・ラ・ランド』もしっかりそこは押えてありますし、さらにダサさっぷりを控えめにしてあります。これはありがたい! 帰りに間違って道で口ずさんでも「ヤバイ人」みたいにならないのも嬉しいですね。

がっかり……が少ない! ダンスも演技も歌も、しっかりしたクオリティ


ダンスや演技、歌がお下手な人が舞台にいると、本当に盛下りますよね……。小劇場で友達がやる舞台を見に行ったり、若手俳優が集まる舞台を見に行くと、あっけにとられるくらい下手な人がいてビックリしてしまいます。ただ【宝塚】はそこまでひどいことはあまりありません。たしかに、あまり上手じゃない方もいらっしゃるのですが……そういう方は、チョイ役だったりするので大丈夫。売り出し中の若手女優だからと真ん中に立ってしまうなんてことはありません。映画ならなおさら! 脇役まできちんと素晴らしい『ラ・ラ・ランド』なら、ガックリしたりすることはありません。しかも、チケットは舞台よりかなりお安い! まあなんてありがたいことでしょう!

答え合わせが楽しい? 深く知りたいあなたを虜にする仕掛け


100年もの歴史がある【宝塚】。かなり再演ものも多く、少しずつアレンジが加わっているものも少なくありません。また、別の作品へのオマージュが隠れていたりする場合もあります。たとえば「あれ、この衣装って○○のときと同じやつを使いまわしてない……?」なんて場合も。出演者同士の仲良し度だったり、同期や先輩との関係だったり。知れば知るほど楽しくて、その答え合わせをするのも楽しい。『ラ・ラ・ランド』は、たくさんのミュージカル映画のオマージュが散りばめられた作品なので、同じようなことができます。しかも【宝塚】より手軽に。ネットを検索すれば瞬く間に情報が手に入りますので、裏を知る楽しみも楽々と。しかも、日常会話の話のネタにもなるはず。今話題の作品って、この辺便利ですよね。【宝塚】では、こうはいきません。

<<<ここからが重要なんですが、軽いネタバレになります>>>

純度の高いキュンキュンの理由! ダンディズムや男の哀愁をこれでもかと


【宝塚】というのは、トップ男役を頂点としたピラミッド構造。女役さんももちろん大事ですが、男役さんのほうが憧れられる&人気があります。娘役は男役をよりかっこよく見せるために存在するといっても過言ではないほど、普段も舞台の上でも「ダンディズム」や「男の哀愁」など、トップ男役(とその他の男役)の男性らしさかっこよく描くことをメーンにした舞台です。なので、女性ならきっと、ものすごくキュンキュンできます。意外と男性もそこには共感できるそうです(周りの【宝塚】男子調べ)。ただ、【宝塚】はちょっと純度が高すぎるところがあるんです。女性が演じるからこそ猴想の男性という概念瓩砲覆辰討靴泙Δ箸いΔ。かっこ悪くはあんまり、ないんですよねぇ。どんな時も美しいんです。嫉妬しても、泣いても、怒っても、美しい。それが私はとても好きなのですが、それがどうしても受け入れられないという人がいるのもよく分かります。かくいう私も、男役さんにキュンキュンすれど「彼を抱きしめてあげたい!」みたいな気持ちにはなれません。その概念、高尚すぎるんです。でも、『ラ・ラ・ランド』は違います! もう、これでもかと言うほど男性主人公は情けなくて、弱くて、自分勝手で、寂しくて、悲しいです。それがものすごく、男性らしい! 異様にキュンキュンくるし、胸が揺さぶられます。自信満々なのに本当は弱い、私達がよく知る男性らしさが描かれる『ラ・ラ・ランド』。もちろん、女性主人公もかなりリアルです。現実の女性らしくて、【宝塚】にはあまりない表現だと思います。これなら、男性も女性もすんなりみられるんではないでしょうか? 

なくなった恋は、あったかのように。最後に見られるデュエットダンス


帰るときにお客様が、ガックリしないように。【宝塚】の舞台にはその配慮がとてもしっかりと根付いています。なので、悲恋物の最後には、必ず犒襪个譴覆ったふた本当はないものを、ダンスや歌で見せてしまう荒業! 「いらんことするな!」と言う方もいらっしゃいますが、猝粥覆發靴は天国)の中で結ばれる瓮掘璽鵑描かれるんですね。だから、バッドエンドものでも見終わった後の重さがあまりありません。すごく悲しい物語だったけれど、でもふたりの愛はそこにあったと感じられる。『ラ・ラ・ランド』もですね、あるんです、それ。もうこれ、本当に【宝塚】!!! 手に入らなかった素晴らしき日々を見ながら、号泣してください。めちゃくちゃスッキリしますから。しかも、さらに最後かぶせ技で現実がやってきます。これが、本当に、よい!!! エンドロールが終わるまで、泣きましょう、うんうん。

いかがでしょう? 『ラ・ラ・ランド』=【一般の方がとても見やすい作りになっている宝塚のような作品】だということ、分かっていただけましたでしょうか?

『ラ・ラ・ランド』が楽しかったという方は、ぜひ【宝塚】の舞台に足をお運びください。
そして【宝塚】に行きたいけど敷居が高かったという方は、『ラ・ラ・ランド』で当面のキラキラを摂取して、チケット代を貯金してくださいませ。
そして、私のように【宝塚】が大好きな方は、『ラ・ラ・ランド』おすすめです。S席1枚分でIMAXで4回も見られるなんて、むちゃくちゃオトク! しかも、毎日千秋楽並のクオリティです。これは1回見に行っても、なんら問題ない! ので、見にいってもいいのではないでしょうか?


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