T2 トレインスポッティング/選べた未来、選べなかった未来、そして、今。

T2 トレインスポッティング

T2 トレインスポッティングT2 Trainspotting/監督:ダニー・ボイル/2017年/イギリス


ベグビーなんかいい。シック・ボーイもどうせ裏切る。でもスパッドは……


新宿ピカデリー シアター2 E-15 で鑑賞。『トレインスポッティング』(1996年)見ていないと話がわかりません。

あらすじ:レントンが帰ってきます。

キャスト
  • ユアン・マクレガー
  • ユエン・ブレムナー
  • ジョニー・リー・ミラー
  • ロバート・カーライル

ネタバレしています。特に注意書きはしていません。

おすすめ
ポイント
スパッドの物語です。パンフレットおすすめらしいです。
大人になると選択肢がなくなってくる。40代半ば、人生も折り返し地点ときたら、昔みたいにバカやってられない。積み重ねて来た過去にとらわれることもあるだろう。過去が足を引っ張ることもあるだろう。あったはずの未来を思って寂しくなることもあるだろう。「これからの未来」のために何が出来るのか。何を選んで、何を諦めるのか。

20年前のあの出来事は、関わった全ての人間を変えてしまった。レントンは「普通の生活」を手に入れるためにアムステルダムへと飛んだ。ベグビーは懲役刑を受け、シック・ボーイはケチな犯罪に手を染めている。スパッドは手に入れた大金でヒドいヘロイン中毒者になった。

クズはいつまで経ってもクズのままなのか?人は変われるのではないのか。あの頃よりは大人になった、守るべきものもある。悲しい記憶も憎しみも、思い出に変えられる、はずだ。それが理想だ。でも、現実は理想通りになんていかない。

この物語は、レントンではなくスパッドの視点から見ると景色が違って見える。死を選ぼうとしていたスパッドは言う。「友達が滞在しているあいだは死なない」と。ではスパッドが結果的に死を選ぶことになるか?というとそうはならない。彼は自分の、隠された才能と目的を見つけることが出来たからだ。
スパッドのシーンはどれも良くて、笑いもあるが、同時に涙を誘う。一番どうにもならないバカに見えたスパッドが、一番俯瞰的な視点を持っていた。彼は素直なのだ。良くも悪くも。

ベグビーは面倒くさい。以前から面倒くさかったが、今回は輪をかけてめんどうくさくなっていた。
ところで。

ベグビーには妻も子供もいる。セックスはうまくいかない。バイアグラを飲んでいたとはいえ、レントンを死ぬ気で追いかけたあとには勃起している。ベグビーが、自分で気づいていないゲイだということが示唆されているのではないか。ともかく。ベグビーと息子との間柄、また、レントンとの関係は絶妙である。ベグビーは苦しんでいる、かわいそうだとも思う。20年間、外の世界と断絶して暮らしていた。変化についていけないのだ。

面倒臭さという点においてはもしかしたらベグビーよりもシック・ボーイの方が上かもしれない。彼が昔と変わったのは、よりクズになったところと、やり方が昔よりずる賢くなったところだ。ちんけなパブでも、まともに経営していればそれなりになるかもしれないのに、一発逆転を狙っているあたり、そして、レントンを引き込もうとするときの、心にもない会話。あいつは裏切ると思われても仕方がない。
ところで、彼は一体いつからショーン・コネリーの話をしなくなってしまったのだろうか。前作でドーンが死んでしまってからか。

シック・ボーイの彼女ヴェロニカ(アンジェラ・ネディヤルコヴァ)は、現代の象徴として居る。冷静な判断力を持ち、シック・ボーイに使われているように見えつつも、実は彼女が主導権を握っている。若く、美しく、希望に満ち……そして、したたかだ。レントンらは彼女に、昔はああだった、こうだった、と「教え込む」。中盤の見どころ、レントンが「人生を選べ」とは何か、について語るシーンなどは特に印象的だ。レントンは冗談であることにして、本音を話していたのだろう。ヴェロニカにそれは伝わっていただろうか。おそらく彼女は、全部スルーしている。でなければシック・ボーイみたいな人間とうまくやっていけるわけがない。彼女はバカなおっさんをだまくらかして大金をかすめとる悪い女か?というと、そうでもないんだろう。彼女にだって選ぶ道はあったのだ、かつてのレントンと同じように。

キレの良さという点においては、前作にかなわない。これはダニー・ボイルの腕が落ちたわけでも脚本が悪いわけでもなんでもなくて、メインの登場人物である彼らに、時代を牽引する力がもう残っていないからだろう。年をとってしまうのは悲しいことなのだろうか。

いや、未来はまだ選べるはずだ。選択肢が少なくなっても、時代が変わっても、自分が変わっても、きっと、まだ。そう信じないと、やっていられない。人生はクソだ、なんて、言いたくない。

Choose life. Choose Facebook, Twitter, Instagram and hope that someone, somewhere cares. Choose looking up old flames, wishing you'd done it all differently. And choose watching history repeat itself. Choose your future. Choose reality TV, slut shaming, revenge porn. Choose a zero-hour contract, a two hour journey to work. And choose the same for your kids, only worse, and smother the pain with an unknown dose of an unknown drug made in somebody's kitchen. And then... take a deep breath. You're an addict. So be addicted, just be addicted to something else. Choose the ones you love. Choose your future. Choose life.

T2 Trainspotting (2017) - Quotes - IMDb
photo
トレインスポッティング [Blu-ray]
角川書店 2011-11-25

by G-Tools , 2017/03/29

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