君が、生きた、証。〜アントン・イェルチン追悼〜

普段訃報には触れないスタンスをとっていて、それは死を消費していくように思えるからだ。つらいものはつらい、誰が亡くなろうともつらい。あえてそれを表に出す必要はないのではないか、と思っての、訃報には触れないスタンスであった。今回はどうも、心が落ち着かない。いや、誰が亡くなろうと心は落ち着くわけがない。ただ、あまりにも早すぎた、ただ、あまりにも悲惨すぎた。いや、亡くなり方がどうのということでもない。なんなのだろう。コントロールできないのだ、では、冥福を祈ることなどで自分の心が多少なりとも落ち着くのであれば、なにかひとこと書いておくのもそう悪いことではないのではないかとも、思った。書きなぐるので、誤字脱字があるかもしれないがご容赦いただきたい。

アントン・イェルチンが亡くなった。わたしは高齢の俳優が好きだが、アントン・イェルチンとケイレブ・ランドリー・ジョーンズは若い俳優の中でも好きだ。とくにアントン・イェルチンは『君が生きた証』での演技で心を掴まれた。出演作をすべて見ているわけではない。『スター・トレック』は見ている。スタトレの彼もかわいい。『それでも、愛してる』も良かった。演技力という点でずば抜けているようにわたしには思えた。若い男の子の顔が覚えられないのは、演技が心に引っかかりにくいからというのもあった。アントン・イェルチンは違った。決定的になにかが違ったと思う。何が、とは言い難いのだが。伏せた目の憂い、笑顔の愛らしさ、静かに怒りを表すときの鋭い目つき、照れくさそうに微笑む、赤らめた頬。歩き方ひとつとっても、キャラクターを的確に表現する俳優だと思っていた。

『君が生きた証』という邦題は、悪くはないが引っかかりの少ないものだなという印象だった。『ラダーレス』が良いかというとそこは難しい。ので、『君が生きた証』で良かったのだろう、と思っている。私はこの映画を何度も見、クエンティンとサムの幸せなシーンだけを毎日繰り返し、ときどき、最初から最後まで見ては泣くほどには思い入れがある。オールタイム・ベスト1位『オズの魔法使』2位『銀河ヒッチハイク・ガイド』3位『サンセット大通り』だったのが、3位『君が生きた証』に変わったほどには、好きだ。映画の中で、彼らは「生きている」、その、抜群の演技をもって、その、細やかな心理描写をもって、その、胸が締め付けられるような歌声をもって、彼らは生きている。

生きていた。

あまり気に入っていなかった邦題が、そのまま、アントン・イェルチンのことにすり替わってしまった。君が生きた証、が、ここにある。追悼文に商品リンクを入れるのはどうかとも思うが、未見の方はぜひ見て欲しい。彼はたしかにここに生きている。生きていた。わたしが好きになった、彼の演技のよさ、すべてが見られる。

RIPとは言わない。わたしはそれだけはいいたくない。さようならとも言わない、また、映画の中で、会おう。君の可愛い顔を見せておくれよ。抱きしめたくなるような弟っぷりを見せておくれ。なぜ逝った。さぞ苦しかったろう、わたしが代わってあげられればよかったのに。言っても仕方がないことだ、わかっている。わかるために、こんな文章を書き散らしている。
また会おう。『スター・トレック』楽しみにしているよ。君が居ないことに、慣れる日は、きっと来てしまうだろうね。それでも、愛してる。

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