神様メール/運命から、逃れなさい

神様メール

神様メールLe tout nouveau testament /監督:ジャコ・バン・ドルマル/2015年/ベルギー・フランス・ルクセンブルク合作


わたしたちにとって、世界はずっと、優しくなかった


TOHOシネマズ新宿 スクリーン6 G-13で鑑賞。

神様メール

あらすじ:余命宣告メール、送っちゃいました。

神様(ブノワ・ポールブールド)は横暴であった。娘であるエア(ピリ・グロワーヌ)はブチ切れて神様のパソコンをいじり、世界中の人達に余命宣告メールを送っちゃうのだった。

ネタバレはありません。


おすすめ
ポイント
ほんわかかわいい(だけじゃない)話の中に、ちょこっとだけ毒っけが含まれているのが良いですね。そしてゴリラ。
誰もが一度は考えるであろう「余命がわかったら?」という好奇心を小さな世界観で軽妙に描いていて、登場人物らの一風変わったキャラクター性がどこか心地よく感じられる。横暴な父親から逃げ、世界へと旅立っていく少女の物語でもあり、モラルハラスメント被害者である妻が逃れる物語でもある。
もし死んだら神様を一発殴ってやりたい、こんな世界にしやがって」というようなことをツイートしている人を見たことがあり、まったく、同意しかないと思っていたが、この映画では神様がボコスカ殴られるために溜飲が下がる部分もあり。神様はクズだが、憎みきれない顔を覗かせるところも良かった。

「選ばれる者たち」はみなどことなく不思議で、しかし、人というのはこういうものだとも思う。どの人もみな愛おしく、彼らが寿命を知り少女と出会うことで、彼らにとっての真の人生を歩むこととなる、優しさに満ちあふれている。みなそれぞれ違った音楽を持っている、というのも、とてもいい。多様性を、こんなにも可愛らしい方法で描けるとは。
特に気に入っているのは、母親から虐待を受けている(と思われる)少年。彼は少女に出逢い親の呪縛を逃れる。そういう意味で彼らには共通点がある。運命を変えることをミニマムに描いているのだろうとも思う。

さて、わたしの話をする。ときおり、人のあまりの多さとその熱量に当てられてしまうことがある。人はみな、二つとない人生を歩んでいる。自分とほとんど同じ熱量を持った、たくさんの人たち。ひどい時には、アニメやゲームのキャラクターにもほぼすべて性格設定がなされており、各々人生があるのだと思うと、熱にやられて倒れそうになることもある。『神様メール』は、広い世界を狭く描くことで、熱が凝縮されている。しかしその熱はわたしを倒れさせるような激しいものではなく、温かく包み込むような、なにかであった。今夜は、良い夢を見せてもらえるといいなと、思う。

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ベルギーのブリュッセルのとあるアパートに家族と一緒に住んでいる神は、慈悲深いイメージとは程遠い嫌なヤツだった。パソコンを使って面白半分に災害や事故を引き起こし、小さな ...
  • 映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評
  • 2016/06/01 11:50 PM
いやぁ、神様サイテー。って言うか、こう言う設定と描写は、キリスト教的に大丈夫なのか?と心配になりました。インターネットの巨大百科事典によれば、ベルギー国民の約58%(2012年)はローマ・カトリックですし、外務省のベルギーに関する基礎データでも『キリスト教
  • 勝手に映画評
  • 2016/06/02 10:36 PM
いっそ世界をリセットしよう! いかにも曲者のジャコ・ヴァン・ドルマル監督らしい、一筋縄ではいかない作品だ。 どこかモンティパイソンを思わせるシュールでシニカル、それでいて詩的なファンタジー。 ?「神様ってひどい奴だよね」って、この死と破壊に満ちた世
  • ノラネコの呑んで観るシネマ
  • 2016/06/04 10:25 PM
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