ゴーン・ガールGONE GIRL/監督:デヴィッド・フィンチャー/2014年/アメリカ
わたしは”あなた”の被害者です。
TOHOシネマズ日劇スクリーン3、M-17で鑑賞。原作未読です。
あらすじ:結婚記念日に妻が失踪した。
5回目の結婚記念日、ニック(ベン・アフレック)が帰宅すると、妻のエイミー(ロザムンド・パイク)が綺麗さっぱり消えていました。
※ネタバレしています。結婚生活については他の人が書くと思うし、わたしが言うことはあまりないので、他のこと書いてみました。
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ポイント - ベン・アフレックにツーショット要求して「シェアするのは勝手でしょ!」って言うバカ女の動き最高にムカつく! 大変面白かったです。
エイミーの母(リサ・バネス)は、人並みに欠点がある”人間らしいエイミー”をベースにして、人々から愛される『完璧なエイミー』の物語を描く。
物語の流れ上、彼女が母親に反抗する初めてのシーンが『完璧なエイミー』の結婚パーティーの場で、白い服を着て来なかったところ。そんな些細な、母親以外は気にしないようなことしか出来なかった。
母親が望むなら、世間が望むなら、他人がわたしを作り上げることに、わたしは何の抵抗も持たない。それで他人を操れるのなら、それで自分が生きやすくなるのなら、わたしはわたしの心を殺しましょう。
エイミーは他人からの評価でしか自分を保てない人間で、完璧を求められ続けてきたがゆえに本人の健康的な成長は阻まれ、非常にクレバーでありつつも、どうしようもない幼児性を持ち合わせている。
例えば、モーテルで自分の悪口を言った女の飲み物に唾液入れるとか、そういうの。
最初の彼氏デジー(ニール・パトリック・ハリス)がつきまとい行為をしていたとか、次の彼にレイプされたと言うのは事実ではない。それらの事件を、両親はいともたやすく解決し、あたかもエイミーが完全な被害者であるかのように…もちろん、エイミーがそういうふうに両親へ伝えたのだろうけれども…守っている。
両親が…とくに母親が守っているのは、彼女が”生み出した”『完璧なエイミー』なのだ。それは、母親の頭のなかと、”世間様”の前にしかいないというのに!
エイミーは母親から受けた呪縛を解けない。
両親に自分の預金を渡しニックから責められたとき、彼女は『だってこれは親の金なのよ』と言う。幼い頃から散々な目に遭いながらも、彼女は親を見捨てられなかった。親離れが出来てないのだとも思う。そして母親も、子離れが出来ていない。
失踪1日めにして専用ダイヤルや独自ドメインを取得し、ポスターを作り、ボランティアを集め捜索本部を置くエイミーの母親は、この物語の中で最も異常だ。
エイミーはわかっていただろう、自分が失踪したら、母親がどういう行動を取るのか。
あ、そうそう、デジーの別荘で見たニックの記者会見が”良かった”からエイミーは家に戻ったわけじゃないよね。復讐プランを変えなくてはいけないのに、あそこにいたら全く身動きが取れないからでしょう。
エイミーが『それが結婚よ!』と叫ぶのはカウンターで、ニックが一連の出来事の中で思い悩み、これ以上の離縁の言葉はない、と貯めまくった不満を、冷静さを欠いた状態で言ってきたから一蹴しただけなんだよね。エイミーが今までの人生で培ってきた、自分の行動により他人からどう思われるか、をほぼ無意識に行っている。
エイミーは、自分を肉体的に傷つけることに関して抵抗がない。彼女に、やってのけたい目的があるため自傷行為も出来る、というのもあるにはあるだろうが、透けて見えるのは破滅願望だ。それも、かなり強い破滅願望だ。死ぬ日まで決めていた…結局、先へ先へと延期していたのだが。状況が変わっていくから延ばしたのか、完璧な死に場所が欲しかったか、あるいは、死ぬと復讐の先が見られないからか。
エイミーが本当に復讐したかった相手は、母親なのではないか。そのことを、彼女自身も気づいていない。
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by G-Tools , 2015/01/08