アナと雪の女王/やめて、あなたを傷つけたくないの

アナと雪の女王

アナと雪の女王Frozen/監督: クリス・バックジェニファー・リー/2013年/アメリカ


それがわたしの運命ならば、孤独であってもかまわない。


TOHOシネマズ日劇スクリーン3、M-16で鑑賞。字幕版2Dです。
日本公開のずっと前に海外で見たひとから『大好きになるか大嫌いになるかどっちかだと思うから、絶対に見てね』って言われていまして、すごい期待値高かったです。予告回避たいへんでした…。

アナと雪の女王

あらすじ:おねえちゃんが世界を凍らせました。

生まれつき氷の魔法が使えるエルサ(声:イディナ・メンゼル)は、その力のため妹アナ(声:クリスティン・ベル)を傷つけてしまい、力を制御しようとするのですが…。

ネタバレしています。
というかネタバレしか書いていないので、未見の方はご注意下さい。


おすすめ
ポイント
エルサ様! エルサ様すばらしいです。美しい。たまりません。泣きすぎてたいへんでした。
わたしは「塔の上のラプンツェル」が大好きで、そのときの感想に、こう書いたんですね。
フリンがチャラいのは、世の中を知り尽くしている、現実世界の象徴なんですね。彼のキャラクターは非常に現代的で、2010年の少女たちへ捧げる映画であることを意味するでしょう。さらに、文字通り白馬に乗って登場する王子様ですからたまりません。

いや、泥棒じゃん、王子様じゃないじゃん、っていうのは、これはね王子様であってはいけないんですね。王子様というのは生まれで決まるもので、後ろに家系があるわけです。自由ではないんですね。

これね、何を言いたかったのかというと、ディズニープリンセスは王子様とくっつくのがセオリーだったのを覆したなと思ったんです。「ポカホンタス」「ムーラン」「アラジン」も、相手は『王子様』ではないですが、ちょっとそこはおいといていただいて、話を続けます。すいません。

塔の上のラプンツェル」では恋人を盗人にし、話の内容も現代アレンジがされている(テーマがモラハラ!)と思っていたら、こんどは『愛とは「男女間にのみ芽生え、主人公を救う恋愛」だけではない』というところへ着地するわけですよ。

王子様もいなければ、ヴィランもいない。いるけれど、いないんです。これはすごいなと。

アナと雪の女王

エルサは、隠さなければならなかった自らの魔力について、望まぬ状況で告白することになってしまった。そのために、自分はここにはいられない、と城を後にするわけですが、彼女は、誰を恨むということもないんですね。ここで誰かを(自分自身も含めて)恨んだり、憎んだりしてしまったら、ディズニー・ヴィランズ一直線、高いところから落ちて死んでしまったでしょう。

また、彼女の力が失われることもないんですね。自分はこういうふうに産まれたのだから、変えられない。生まれ持ったものを変える必要はない、それを他者が受け入れるかどうかは自分次第かもしれないが、無理をしてまで周囲に合わせる必要はないんだよ、ということです。


彼女は子供の頃から閉じ込められて孤独だったけれども、同時にそれを望んでもいたんですよね。ひとを傷つけるくらいなら、ひとりでいたほうがいい。だから、『Let It Go』を歌うのです。もういいんだ、わたしはこのままでいい。ほんとうにひとりになろう、と。このあたりは「リトル・マーメイド」以降たびたび描かれてきた『自分の運命を変える』『ここではない自分の居場所へ行く』というのと同じなんですが、意味合いが微妙に違うんですよね。誰のためにそれをするか、という点において。

アナと雪の女王

アナとエルサは、扉をへだてて離れ離れになっているあいだも、けんかはしなかったんですよね。

戴冠式のパーティーで久しぶりに顔を合わせた時のぎこちなさも、アナがエルサに会いに行って『変わったね、いや、いい意味で』と言うところも、わたしはあなたをよく知っているよ、会えなくてさみしかったよ、そしてあなたと話がしたいんだよ、という気持ちだけしかないのです。嫌いになったわけじゃない、そもそも嫌いになる理由がなかった。


アナと雪の女王

エルサが『え、初めて会った人と結婚とかないわ、ちょっとそれはおねえちゃん祝福できないです!』って言っても、アナはエルサを嫌わない。おねーちゃん、わかってくれないなー、まー、わかってくれないのもしょうがないのかなーっていう(男女問わず、すぐに結婚って言い出す人は地雷ですからね!)。

この、『結婚するよ! 運命の人なの!』『なにバカなこと言ってるの今日会ったばっかりでしょ? なにがわかるっていうのよ!』っていうところだけでも、いままでのディズニープリンセスストーリーを覆している。エルサのセリフに、ああー耳が痛いわーってなるディズニープリンセスいっぱいいるよね。


繰り返し描写される、アナとエルサを遮断する扉、彼女らのあいだに育まれている愛を引き離すものとしてのね。これがあるだけで充分なんです。だから、けんかをさせる必要もないんだよね。けんかさせてから愛に気づくという流れでもいいのだけれど、ここはもうシンプルに。

それで話を最初に戻しますと、『愛は男女間にのみ生まれるものではない』というところね。愛にはいろいろな種類があって、恋愛だけではないのだよ。時代に合わせてきているなあということと、多様性について提示してきている。アナは最終的にクリストフとくっつくけれども、結婚には至らない。いずれするかもしれないが、それは今ではないし、結婚はゴールではない。

いずれディズニーは、同性愛を明確なテーマとするときが来るのではないか? とも思いましたね。今作について、無理やり同性愛テーマと受け止めることもできなくはないのです。エルサは生まれ持った力を隠さねばならず、それによって世間から排除されてしまうところとかね。悲しいことではあるが、現状、同性愛者にたいする社会はきびしい。そのあたりから引っ張ってきて、ディズニーが同性愛を扱った! やった! っていうふうにこじつけることも、出来るんですけれども、彼女らが姉妹であるという前提があるので、いまはまだ。
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【Amazon.co.jp限定】アナと雪の女王 MovieNEX (オリジナル絵柄着せ替えアートカード付) [Blu-ray + DVD]
ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社 2014-07-16
評価

by G-Tools , 2014/05/30

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アナと雪の女王 オリジナル・サウンドトラック
V.A.
WALT DISNEY RECORDS 2014-03-11

by G-Tools , 2014/03/16

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ディズニー アナと雪の女王 ビジュアルガイド
ディズニー
KADOKAWA/角川書店 2014-03-14

by G-Tools , 2014/03/16

photo
塔の上のラプンツェル DVD+ブルーレイセット [Blu-ray]
ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社 2011-07-20
評価

by G-Tools , 2014/03/16

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