ライク・サムワン・イン・ラブ/それは決して、恋でなく。

ライク・サムワン・イン・ラブ/Like Someone in Love

ライク・サムワン・イン・ラヴLike Someone in Love/監督:アッバス・キアロスタミ/2012年/日本、フランス


想いは常に一方通行で、受け入れることができなくて。


わたしがおじいちゃん好きなので、という理由で教えていただき、鑑賞券プレゼントに応募したら当たったので見に行きました。キアロスタミ監督作を見るのは初めてです。

ライク・サムワン・イン・ラブ/Like Someone in Love

あらすじ:風俗嬢とおじいちゃんが親密な関係になります。

デートクラブでバイトしている女子大生・明子(高梨臨)は、老教授タカシ(奥野匡)に出会う。明子の恋人ノリアキ(加瀬亮)は、明子が何か隠しているのかと疑い続け…。

ネタバレはありません。


おすすめ
ポイント
加瀬亮がとにかくうまいので、もうそこは安心していただいて。クルマのウインドウに映る風景のかんじとか、絵もきれいだった。車中のシーンはどれもいいです。あと、またでんでんか!
ライク・サムワン・イン・ラブ/Like Someone in Love

最初、おじいちゃんが風俗嬢に入れ込んで久々の恋にほんわか、みたいな話なのかと思ったんですね。ポスターにも「84歳、かりそめの恋を夢みた」って書いてあるし。でもこれ、そういう映画じゃないと思うのよね。

全体を通して印象的なのは、車中と電話、それから雑音ね。最初のタクシーのシーンはそれらがいっぺんに来てて、明子の迷いであるとか、不安定な気持ちであるとかが、すごく伝わってくる。田舎から出てきた若い女の子が、ざわざわぎらぎらした東京の街に埋もれている、自分勝手なひとに振り回され、断る勇気もなく、不安でいっぱいで、でも、戻れない。


くるりの「東京」で『東京の街に出てきました 相変わらずわけのわからないこと言ってます 恥ずかしいことないように見えますか 駅でたまに昔の君が懐かしくなります』という歌詞があるのだけれど、なんかね、すごくそれを思い出したよ。わたしも田舎の生まれだしね。

ライク・サムワン・イン・ラブ/Like Someone in Love

電話って、かける人が相手を電話に拘束するってことだと思うのね。メールだったらいつ見るかわかんないし、ほったらかしてもしかたないときもある。でも電話は、束縛みたいなのを感じる。

とくにこの映画で出てくる電話のシーンは、つねに一方的なんだよね。おばあちゃんの留守電だって、一方的なわけですよ。『思い』が常に一方通行である、ということを表している。で、明子がおじいちゃんにかける電話も、一方的なもの、勝手な明子の都合ではあるけれども、おじいちゃんはそれに応じるのですね。


ライク・サムワン・イン・ラブ/Like Someone in Love

特に一方的なのはノリアキで、もうこれはほんとうにわかりやすくダメな男なんだよな。ノリアキは「あとで話そう」、て明子によく言うけど、それが『話し合い』じゃないってことは一瞬でわかるんだ。

加瀬くんはほんとうまくて、おじいちゃんとの車中の会話であるとか、そのあと3人でいるときの表情とかさ。閉鎖空間でのピリピリした感じ。


ライク・サムワン・イン・ラブ/Like Someone in Love

明子はあきらかに自分に自信がないのだな、そしてそれを認めたくはないのだな、というのがすごくわかるセリフがあって、「わたし、いろんな人に似ているって言われるけど、そんなことないって思ってる」っていうの。

人に似ている、って、褒め言葉ではまったくないんだ。個性の曖昧さを突きつけられてしまっているの。だから明子は、他人から言われるそれを否定したがる。絵に似ている、おじいちゃんの奥さんに似ている、というのは、自分から言っていることだから、同じ『似ている』でも意味が違うのだよね。


ライク・サムワン・イン・ラブ/Like Someone in Love

おじいちゃんは経験に裏付けされた個人の意見を言う、なんとかなると思っているし、そういうふうに言うと相手が安心するの知ってる。「大丈夫、大丈夫だから」って。それがたとえ、安心させるための嘘だとしても。

わたし映画が終わった瞬間にバーッと泣きだしてしまってたいへんだったよ。明子に感情移入して、とかでなくて。この物語は『途中』で終わるんだ。この先、どうなるか、ぜんぜんわからない。すごくすごく大変なことが待っているかもしれない、けれども、きっと、おじいちゃんは明子に「大丈夫」って言ってくれるんだろうな。


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当ブログ初の日本人おじいちゃんですね。わたしはねアジア人おじいちゃん俳優にはじつはそんなに興味がないのですね。電車の中とかですてきな日本人おじいちゃんを見つけると、うっかり見てしまいますけれどもね! 日常生活で遭遇するすてきなおじいちゃんは人種問わず
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