RIVER/秋葉原通り魔事件の、その後の物語。

RIVER/秋葉原通り魔事件の、その後の物語。

RIVER監督:廣木隆一/2012年/日本


興味本位で見ると、思わぬダメージを受けます。


2008年に起きた、秋葉原無差別殺傷事件を題材とした映画が作られる、しかも被害者視点で、と最初に聞いたとき、それは違うだろうと思いました。実際の殺人事件、しかも最近の事件を映画化することじたいにデリケートな問題を含んでおり、安易に扱うべきでないというのは大前提の上で言いますが、映画にするのであれば加害者が主人公であるほうが良いと思うのです。ひとりの人間が、なぜあのような事件を起こすに至ったのかを掘り下げて欲しいと思うのです。「丑三つの村」のように。

それでも、映画は本編を見てみなければなにもわかりませんので、見ましたよ。

あらすじ:秋葉原無差別殺傷事件で恋人を殺されたので、秋葉原に通います。

恋人を失ったひかり(蓮佛美沙子)は、事件から3年経っても立ち直れず、秋葉原をぶらついてメイド喫茶で働いてみたりカメラマンに写真撮られてみたり男の子と関わってみたりします。

ネタバレしています。褒めていません。

おすすめ
ポイント
「ヒミズ」を見て不快感を覚えた方は見ないほうがいいです。ムカつくだけだから。
事件の加害者は登場しません。
RIVER/秋葉原通り魔事件の、その後の物語。

もう、悪いところばかりなの。まったく無意味な長回しや不必要なカメラの揺れなどといった、画づくりの甘さ。ずっと引きこもっていたはずの主人公が、ものすごく小奇麗にしているところ。メイド喫茶などのリアリティのなさ。細かいところをあげればきりがないのよ。

とくに主人公以外のデリカシーのなさについては、おそらくこれが映画全体を象徴するものなのだろうと思うのね。主人公とその他の人々との『事件への温度差』をあらわすものであったとしても、他にやりようがあるはずだよ。

もっとも大きな問題として、この映画は秋葉原の事件を題材にする必要がないんですよ。秋葉原無差別殺傷事件を、まったく描いていない。事件と向き合っていない。これは架空の事件を題材にしても良い内容なの。だとしたって映画の出来はひどいけど。

※以下、ネタバレを含みます。


RIVER/秋葉原通り魔事件の、その後の物語。

秋葉原をメインに撮っているときはまだ、出来が悪いなあというくらいにしか思わなかったのね。でも、被災地での長回しが始まった瞬間、声が出るかと思うほどの怒りをおぼえました。わたし、この映画に被災地の映像が使われているって知らなかったから、余計にね…。

秋葉原通り魔事件と、東日本大震災に、なんの関係があるっていうのか。

監督は福島出身だそうですが、それはなんのエクスキューズにもならない。


ヒミズ」にね、被災地の映像が使われているので、不快感をあらわしていた方がけっこういらっしゃいましたけれども、わたしは、あの映画はまだ、映画の内容と震災が関係あったと思うんですよ。

でも、ひとりの人間が起こした事件と、天災を同一視してはならないのです。この描き方では、秋葉原の事件は天災みたいなもので、しょうがなかったんだと言ってるように思えてしまう。思いつきで撮ってるようにしか見えないの。震災の映像を入れておけば、観客が(心を痛める方向に)感動する、って思ってるんじゃないのか?

そして、「大切な人を失うのは悲しいことだね、でも乗り越えて生きていこう」っていうメッセージが陳腐すぎるのよ。ラストのひかりのセリフは失笑だった、怒りを通り越して笑うしかない。そんな安いところに落としこむんだったら、別に実際の事件を題材にした映画でやんなくていいでしょ。悪い意味で虚構と現実の区別がついていない。覚悟がなさすぎる。もっとキチッと事件に向き合って欲しい。

だからね、誰に対しても失礼なんです。加害者に対してすら失礼だと思う。監督は自分が突然死んだりしないと思っているし、みんなも自分と同じように思っているよね? っていう気持ちが出ちゃってる。
そして、もしかしたら自分が加害者側にまわることがあるかもしれない、っていうような、そんな想像力すらない。悲惨な出来事は、ぜんぶ他人ごととしか感じていないから、こういうデリカシーのない映画を撮っちゃうんじゃないかしらね。


photo
RIVER [DVD]
ビクターエンタテインメント 2012-09-21

by G-Tools , 2014/07/17

JUGEMテーマ:邦画
この記事のトラックバックURL

※記事の内容に関係のないトラックバックは削除する場合があります。
※トラックバックの反映には時間がかかる場合があります。
※リンクのないトラックバックは反映されません。

トラックバック
2008年6月に起きた秋葉原無差別殺傷事件で恋人を失った女性が喪失感から立ち直ろうとする物語だ。撮影開始直前に東日本大震災が起こったことで、急遽被災地でのロケも敢行し、被災した両親をもつ青年との関わりも描き出す。主演は『君に届け』の蓮佛美沙子。共演
  • LOVE Cinemas 調布
  • 2012/03/16 9:55 AM
個人的事件と社会的大事件 公式サイト。廣木隆一監督、蓮佛美沙子、中村麻美、根岸季衣、尾高杏奈、菜葉菜、柄本時生、Quanka,with a Yawn、田口トモロヲ、小林ユウキチ、小林優斗。当 ...
  • 佐藤秀の徒然幻視録
  • 2012/04/05 10:58 PM
おじいちゃん映画
記事検索

現在927件の記事があります。

最近の記事
週間人気記事ランキング
ブログパーツ
プロフィール
ナイトウミノワ

ナイトウミノワ

twitter flickr facebook google+ instagram

映画と球体関節人形が好き。SF映画とコメディ映画、アクション映画、おじいちゃん俳優好き。

カテゴリ
RSS
ブログの内容を気に入って頂けましたら、RSSリーダーの登録をよろしくお願いします。
RSS
おすすめ映画
月別アーカイブ
リンク
その他
無料ブログ作成サービス JUGEM