戦火の馬/自分を超えられなかったスピルバーグ

戦火の馬/War Horse

戦火の馬War Horse/監督:スティーブン・スピルバーグ/2011年/アメリカ


「プライベート・ライアン」のあとでは、どうしても物足りなく思います。


戦火の馬」予習のために何本もスピルバーグ監督作品を見て挑みました、気合は十分でございました。まるきり一夜漬けなスピルバーグファンなわけです、いや、もともと好きではありましたが、「ジョーズ」見たことなかったくらいですからね。にわかもいいとこですよね。

戦火の馬/War Horse

あらすじ:馬が戦争へ行って大変です。

アルバート(ジェレミー・アーヴァイン)は、飲んだくれの父親が買ってきた馬にジョーイと名付けてかわいがっていましたが、お金に困った父親がかわいい馬ちゃんを軍人に売っぱらってしまったので、がっかりしました。でも、きっと戦争が終わったら、馬ちゃんを返してもらえるはずだと思って待つことにしたのでした。

※一部ネタバレしています。ネタバレ部分の前に注意書きがあります。褒めていません。


おすすめ
ポイント
馬はかわいいです。にんじんぶらさげられて「!!」ってなるところちょーかわいかったね。
戦火の馬/War Horse

スピルバーグ監督作品を見まくったせいもあり、いちばんに思うのは、「なんだかスピルバーグ映画じゃないみたい」ということです。

個々のシーンはおもしろいのです。やはり、惹きつけてくるものはある。画面から目を離させない、観客を飽きさせない力はすごいのよね。ただ、全体的に見ると、バランスがものすごく悪いんですよ。ここまでバランスが悪いのもスピルバーグでは珍しいのではないかと思うくらい…。スピルバーグはとっちらかってる、って以前書きましたけれど、そのとっちらかりっぷりが悪い方に出ちゃった感じがするんですよね。

また、この映画はPG-13(アメリカで。日本はG)だからなのでしょうが、戦争のシーンが「プライベート・ライアン」などと比べるとまったくぬるい。さすがにちょっと甘すぎて、これが「プライベート・ライアン」以前の映画であればまだ、いいのですが、今やられてしまうと、どうしたの? って。


戦火の馬/War Horse

この映画の内容として、さほど残酷な描写が必要なかったからだと言われればそれもわかりますけれども、だとしても今まで『そこまでやらなくてもいいんじゃないの?』っていうところで残酷さをぶちこんできたことを思うとね。

だって、いちおう子供向けアドベンチャー映画であるところの「魔宮の伝説」(アメリカでPG)でさえかなりえげつない描写があることを思うと、一滴も血のでない(ように見える)戦争シーンから、いったいなにを感じればいいのか、と思っちゃうんですよね。


戦火の馬/War Horse

ただ、やっぱりいつものスピルバーグ、っていう部分ももちろんあって、女の扱いですね、女。スピルバーグはほんとに女がどうでもいいんですね(笑)。

あと、お父さんがあまりにもダメ親父すぎるというところとかも、らしさかなって思いますが…。今作は「ジョーズ」と同じで、家族の関係がどうのとかいうことについては本筋にさほど関係がありませんので、らしさはあるものの…という気もいたします。


戦火の馬/War Horse

馬ちゃんはちょーかわいいですね。馬同士でいちゃいちゃしちゃって。なんなんすかねもうね、かわいいですね。実によく訓練されている。スピルバーグは子役に厳しいなあと常々思っておりますが、動物にも厳しかったですね。逆に言えば、子供を動物と同じくらいに思っている可能性がありますけれども。こ、こわい。

実際の馬なのかアニマトロニクスなのかCGなのかまったく区別がつかず、有刺鉄線にひっかかるところなどは、『PETAが黙っちゃいないのでは…』などと思ってしまいました。それくらいよくできている。馬はたいへんよかったです。


戦火の馬/War Horse

※以下、ネタバレを含みます。

ジョーイって呪いの馬ですよね。だってアルバート以外の人間が乗ると、その人は死んじゃうんですもの。馬同士でも仲良くすると死んじゃうんですもの。

だから途中で女の子が乗ったとき、うわ、この映画で子供を殺す気か? と思ったのです。ハラハラしましたね。そしたら描写そのものはないものの、やっぱり最後に死んでいたというね、ジョーイはかわいいけれど恐ろしい馬ですね。


と、まあ、そんなこんなで、ちょっと残念な映画でした。ただ、スピルバーグですからかなり辛めに見ているところはあります。これ、他の監督の映画であれば、ここまで厳しく見なかっただろうなと。ですから、今後のスピルバーグにも期待していますよ。

photo
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