
パーフェクトセンスPERFECT SENSE/監督:デイヴィッド・マッケンジー/2011年/イギリス
世界の終わりと、僕らの始まり。
パンデミック映画といえば、去年「コンテイジョン」のときに「えっ、いまどき…」と思いましたが(おもしろかったけどね)、「パーフェクトセンス」はユアン・マクレガーが主演であることと、疾病の症状が一風変わっているので見てみました。そうしたら、今まで見たことのあるパニック映画とはちょっと違った趣でしたね。

あらすじ:嗅覚、味覚、聴覚、視覚、触覚が次々に消えていきます。
突然泣き出したあとで嗅覚を失うという、原因不明の感染病が世界に蔓延します。シェフのマイケル(ユアン・マクレガー)と科学者スーザン(エヴァ・グリーン)は、病気になった瞬間に恋に落ちたのでした。
※ネタバレはありません。
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ポイント - 自分がこういう病気にかかったらどんな感じなんだろう? っていろいろ想像しました。ユアン・マクレガーのおちんがばっちり映っているシーンがありますよ。

全体的に感覚・感情重視なところがあるんですよね。疾病の原因や理屈が最後まで明かされないし、登場人物が、というよりは、世界が、感情に突き動かされているという感じがする。かつ、人々の行動は理性的というね。ひどいパニックに陥ったりは、あんまりない。まったくないわけではないが…。
みんなわりと前向きなんですね。主人公らが住んでいる街はわりと治安の良いところだから、人々がさほどパニックに陥らず済んでいるのかもしれないですけれども。

五感から得られるものが、なにかの感情を呼び覚ますことがある、それまでの日常で得られていたなにか。五感を失うことは、日常も失っていくことかもしれない、今までなんの疑問も持たず送ってきた日常が。今まで当たり前に持っていたものを失ってはじめて、その大きさに気づくということはよくあることです。
それでも人生が終わらない限りは続けていかなくてはならない、続けていけるのだから、大切な人のぬくもりを感じて生きていきましょう、というメッセージを感じました。この映画、作り手はものすごく繊細なんだなーって思ったよ。

この映画、役者がめちゃめちゃがんばっていてさ、花束から花をむしってもしゃもしゃ食べるの! 他にも、これはたぶん本物ではないんだろうけれど、石鹸をがりがりかじったり、口紅を食べたり、オリーブオイルやマスタードソースを瓶から直接がぶがぶ飲んだりするんだよね。ウエー。見ているだけで気分が悪くなってくる(笑
「世界の崩壊と、『ぼく』と『きみ』との関係」が主に描かれているので、ある意味でセカイ系なのかなっとも思います。大規模な感染症の拡大による社会機能の混乱、みたいなのは、それほど詳しく描かれず、ただただ世界がなすすべもなく崩壊してゆき、個人間の感情が浮き彫りになっていく、というところがね。