コンテイジョンContagion/監督:スティーブン・ソダーバーグ/2011年/アメリカ
主役級は全員アカデミー賞(級)などと言われていますが、
それは俳優だけではないのです。
全員アカデミー賞受賞者だったらこの見出しももっとスッキリするのですが、こればっかりはしょうがないです。「コンテイジョン」、最初に予告を見た時、「この豪華キャストでいまどきパンデミック映画?!」と驚いたものです。もう、この映画は、おもしろいとかおもしろくないとかはおいといてとりあえず「知ってる顔がいっぱい出てきてウワーイ」だけでいいんじゃないかと思いつつ見に行きました。
そうしたら、それとは別のところでとっても感心したのでした。
あらすじ:謎の感染症で次々に死にます。
グウィネス・パルトロウが香港から帰ってきて死んで、グウィネスの旦那さんがマット・デイモンで、マリオン・コティヤールとローレンス・フィッシュバーンとケイト・ウィンスレットが医師で、ジュード・ロウがデマ拡散ブロガーで、あれやこれやしたり死んだりします。
※ネタバレはありません。
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ポイント - しょっぱなっからグウィネス・パルトロウのひどいすっぴんでビックリ、マット・デイモンの顔がぷっくぷく、いっぽうローレンス・フィッシュバーンはちょっとやせたような…。ジュード・ロウはみごとなクズでした。
アカデミー賞は俳優だけではない、というのはですね、スティーブン・ソダーバーグが「トラフィック」で監督賞を受賞しているということもありますが、編集のスティーヴン・ミリオンも同じ作品で編集賞を受賞しているんですね。この人は「バベル」でも編集賞にノミネートされています。
で、なんで編集の話をするかというと、この映画、ものすごい1カットが短いんですよ。ちょっとびっくりするくらい短いの。無駄がいっさいないので、映し出されるすべてのことがスーッと頭に入っていくかんじ。最後のマット・デイモンのシーンだけちょっと長くしてある、だからここでジーンとするんです。
これほんと感心しました、感心って言い方がじゃっかん上から目線で好きじゃないがどう言えばいいのか。
とにかく、起きていることについては、見てりゃ全部わかるよっていうふうに作ってある。だから、登場人物が多くても混乱しないし、ずーっと前にちょびっとだけ出てきた人が、あとになってまた出てきても、どこの誰でなんの役だったかというのがパッとわかるんですね。
まあ、混乱しないようにキャストが豪華ということはあると思いますし、キャストが豪華なだけに一体誰が主人公なのか判然としないということもあります、出てきたのにいつのまにか消えちゃう人もいます、散漫な印象になってしまった感はありますけれどもね。
それから、どうもメリハリに乏しいと言うか、ずっと同じテンションで続いていくのでクライマックスがはっきりせず、次の展開まだかなーと思ってしまう、105分しかないのに2時間超えているように感じてしまうという欠点も、ありました。
ハッキリ言って話そのものに目新しいところがないぶん(あ、ジュード・ロウのキャラクターはいまふうでしたね。わたしはホメオパシーを悪だと思っているので、とことんクズに描いてくれてほんとスカっとした!)、なんかもしかしたらこの編集の妙技っぷりを披露したかったんじゃあ…と思うくらいのテクニカルな映画でした。余計なシーンをどーしても切れない癖のある監督とかは、ちょっと見習ったらいいと思います。