ドクター・モローの島THE ISLAND OF DR. MOREAU/監督:ドン・テイラー/1977年/アメリカ
やっぱり70年代のSF映画はいいものだなあ…。
わたし、高階良子の漫画が好きだったんですよ。子供のころに友達から十数冊もらい、引越しのさいに全部処分し、大人になってから十数冊セットでヤフオクで落札、引越しのさいに全部処分し、結局自分でずっと所有することがないんですね、こう書いていてまた欲しくなってきたのでAmazonで検索してみたら中古160円とかだからまた買おうかな…。で、高階良子作品の中でも特に好きなのは「ドクターGの島」「血とばらの悪魔」です。わたしは江戸川乱歩を読んだことがなく、原作である「孤島の鬼」「パノラマ島奇談」も内容は知らないので、どうしても漫画のほうを挙げることになってしまい、こんなところにも教養のなさが現れておりますが…。
ということで(?)「ドクター・モローの島」です。
あらすじ:島に流れ着いたら、博士が実験していました。
ブラドック(マイケル・ヨーク)は救命ボートで漂流して島に流れ着くんですね。そこにいたのはドクター・モロー(バート・ランカスター)とモンゴメリー(ナイジェル・ダベンポート)。召使が何人かと、マリア(バーバラ・カレラ)という綺麗な女もいます。
※ネタバレしています。
- おすすめ
ポイント - クライマックスがとにかくすごい!
モロー博士はどうやら動物実験をしているらしく、獣人を作っては洞窟におしこんで「掟なのじゃ、人として生きるのじゃ、殺しはいかんのじゃ!」と彼らを支配している。獣人たちもモロー博士に従ってはいるものの、まあもともと動物ですので、それがどういうことなのかはどうもわかっていないようなのだな。博士が言ったことをただ繰り返しているだけといったかんじ。
博士は頭がおかしいけれども、妙に冷静で理知的なものですから、彼がやろうとしていることはもしかしたら間違っていないのでは…なんて思っちゃうんですよ。
これがいいなーと思って、あきらかにマッドサイエンティストですといった風情であったなら、この島に住むものたちが、モロー博士に従うことでどうにか秩序を保つなんてことがね、11年間も続けられなかったんじゃないかと思うんです。
召使たちはちょっと知能に遅れがみられるしマリアはまったくなにもできないが、モンゴメリーは普通の人ですんでね。大の大人が2人いて、片方があからさまに頭がおかしかったら、ちいさな世界は崩壊しかねないじゃないですか。モンゴメリーは人の上に立てるタイプのように思えないし。だから、誰かがリーダーにならなければならない。
序盤で獣人がクマの手を檻越しに握ってびっくりし、中盤で獣人とトラが水辺でとっくみあいの戦いを繰り広げてまたびっくりしたんですけれど、クライマックスはもっとすごかったです。
ライオン対獣人とか、ハイエナとか、クロヒョウと一緒に2階から飛び降りたり(というか突き落としているのかもしれない)とかさ、イノシシもいるし、トラが本気で馬を追ったりしているわけ。
しかもそこらじゅうで火の手が上がっている中をだなー! どんだけ無茶をやるの? すごいよね。もう、見ていてほんとうにヒヤヒヤするのよ…! ここだけでも一見の価値はある、今だったら出来ないでしょう動物愛護団体がうるさいし。
この映画、劇場公開版とDVD収録版とでラストが違うんですね…。劇場公開版のほうがいいのに、なんでハッピーエンドのほうしかDVDに入っていないのか。わたし70年代のSF映画ってバッドエンドが多いから好きなのかもです。やるせないの、いいよね。