リミットレス/教訓なきドラッグ映画

Limitless/リミットレス

リミットレスLimitless/監督:ニール・バーガー/2011年/アメリカ


病める時も健やかなる時も、ブラッドレイ・クーパーは全力投球です。


わたしすごく頭が悪くて、とくに数学、というか算数に弱くてですね、繰り上がりのある足し算程度で、もう暗算できないんですよ。小学校1年生レベルだよ。習ったことを全部覚えていて、使えたら、いいのにな!
…という妄想をですね、薬でなんとかしちゃいましょうというお話です。そんな薬、あるなら飲みたいわ!
でもお高いんでしょう? 副作用もきついんでしょう? ねえ?

Limitless/リミットレスあらすじ:しがない作家志望の男が、脳の能力を引き出す薬を飲んで成り上がる。

ブラッドレイ・クーパーさんです。作家志望だが、1ワードも書けないまま数ヶ月、もうダメだ、俺はもうダメだ、というところへ、別れた奥さんの弟と偶然再会し、謎の薬をもらうのでした。

※ストーリー上のネタバレはありませんが、ハッピーエンドかバッドエンドかについては言及しています。
おすすめ
ポイント
活き活きしてかっこいいブラッドレイ・クーパーと、ぐったりして顔が土気色のブラッドリー・クーパーを楽しめます。映像表現も凝っていて◎
Limitless/リミットレス

その薬を飲むと、脳みその使っていないところをフル回転させて、今までちょっとでも見たり聞いたりしたことをぜーんぶ引き出せるのね。で、天才になった彼はあっというまに本を書き上げて、他にも色々やるぜ! と体を鍛えたり、ピアノを覚えたり、デイトレードを始めたりする。俺天才! なんでも! できるよ!

タイトルバックからしてそうなんだけれども、薬でバッキバキになっているときの映像表現がおもしろいねー。

この映画、サスペンス映画ですけれど、ドラッグ映画のほうが合っているのかもしれない。まあ、ドラッグ映画ですしね。薬が効いている間だけは自信まんまんだし、世界もキラキラ輝いているよ! でも、薬が切れるともうなんにもできないの…しょぼぼ…。


Limitless/リミットレス

この効能と副作用って、コカインなどのそれとほとんど同じなんですよね。実際にあるドラッグでは天才になるってことはないけれど、万能感を得てしまうという意味では同じだと思う。悩みもまったくなくなるし、ヘンにポジティブになっちゃう。そのかわり、薬が切れると、身体がガタガタになるんです。

なんて、ほかのドラッグ映画での描写から得た程度の知識でものを言ってしまっていますが…コカインやったことないんだから、しょうがないじゃないですか(笑。


Limitless/リミットレス

ほとんどのドラッグ映画は、「薬はいいものだけれど、怖いんですよ。その楽しさは一瞬のもので、あとで大きなツケを払わねばなりません」ということを言うためなのか、身を持ち崩すばあいが非常に多いんですね。

トレインスポッティング」はユアン・マクレガー以外ほぼ全員ダメになっちゃいましたし、「レクイエム・フォー・ドリーム」は言うに及ばず、「ラスベガスをやっつけろ」もめんどうばっかり背負いこんでいました。

そういう意味で、ドラッグ映画ってものすごいまじめだなあといつも思います。良識的というか。


Limitless/リミットレスリミットレス」も、薬が切れたときのブラッドリー・クーパーのようすがほんとうにもう今にも死にそうなものですから、こりゃダメだ、こりゃいいことないわ、と思って見ているわけです。ほんとに顔が土気色だし、目の錯覚かメイクかもしれないが、むくんでいるし。

それにしてもブラッドリー・クーパーはいつもいきいきしているなあ。いいときと、悪いときの差をつけるために、いいときはとにかくチャラく、わるいときはとことん悪く演じていて、それがコミカルで面白いんですよね。
Limitless/リミットレス

さて、ところがどっこい、偶然にも、ある方法によって、彼はバッドエンドを回避してしまうのです。なぜそれが有効だったのかについては明確な回答がないまま、まあ、なんだかよくわかんないドラッグだし、そういうこともあるよね! という、ある種の無責任さでほぼ強引にまとめてあります。

彼の身に起こったことはすべて偶然の産物で、偶然薬をもらったのだし、バッドエンド回避も偶然でした。だから、それがうまく作用したのも偶然でいいんです。


Limitless/リミットレス

偶然手にしたチャンスを、どうにかしてモノにしようとし、痛い目も見たがとりあえずなんとかなった人のお話だと思うんですね。

賢くなって、お金持ちにもなりたいな、あと、偉くなりたい!」という非常に子供じみた欲望を否定しないっていうのは健康的だし、そういう考え方、好きだよ。それに、「この先」を考えると、実は決してハッピーエンドではないかもしれない、とも思うんだよね。だって、いつ、だめになるかわかんないからね。


Limitless/リミットレス

しかしやはり、「変な薬に手を出すと大変ですよ」と諭すドラッグ映画に比べるとあまりにも説教部分がない、なさすぎる。「ドラッグとはそこそこうまくつきあいましょう、もしかしたら慣れるかもしれません」みたいに聞こえちゃいますから(笑

この映画を見終わったあとでもわたしは「頭が良くなって、性格も明るくなる薬、あるんだったら飲みたいなー!」って思っちゃっているという、この、教訓のなさ。いいねえ、脳天気で。脳天気っていいことだよ。

ところで、金融業界のえらいさんとしてロバート・デ・ニーロが出ているのですが、どうしてもマフィアにしか見えず(笑)ブラッドリー・クーパーをちょっと脅すところとかちょうこわいよーキャー!


全体的には、楽しいし、先がどうなるかわからなくてはらはらするし、映像もおもしろいのでいい映画だと思うんです。ただ、ブラッドリー・クーパーがそもそも何をしたい人だったのかはよくわからない。おまえ、作家になりたいんじゃなかったんか…? とも思う。頭が良くなって変わったんでしょうなあ、変わった結果が金儲け、って底の浅さがね。賢くなっても、もともとの性質は変わらないのだなあ。

ブラッドレイ・クーパー、ダメなときはほとんどヒモ状態のダメな人で、頭はあんまり良くない。どちらかというとバカな人なの。薬を飲んでも、できることは増えたけれど、勢いだけあって思慮深さには欠けるわけ。だからさ、バカは薬では治らない、バカは死んでも直らない、ってことなのかもしれないね。そう言ってみると、残酷な内容にも思えてきます。おもしろかったですよ。

photo
リミットレス [Blu-ray]
ソニー・ピクチャーズエンタテインメント 2012-03-07
評価

by G-Tools , 2012/01/30

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下手すれば吸血鬼:創世記(ジェネシス) 公式サイト。原題:Limitless。アラン・グリン原作、ニール・バーガー監督。ブラッドリー・クーパー、ロバート・デ・ニーロ、アビー・コー ...
  • 佐藤秀の徒然幻視録
  • 2011/10/07 12:33 PM
アラン・グリンのベストセラー『ブレイン・ドラッグ』の映画化。通常は20%しか使用されていない脳を100%活性化させる新薬を手に入れた主人公が辿る人生を描いたサスペンスドラマだ。主演は『ハングオーバー!』のブラッドリー・クーパー。共演にオスカー俳優ロバ
  • LOVE Cinemas 調布
  • 2011/10/11 3:51 PM
年間ベストの季節です。今年はわたしにしては新作映画を多く見ているし、おもしろい映画も多かったので、ジャンル別にベストとワーストを選出してみました。ジャンルわけは当ブログのカテゴリに準じます。上半期のベストテンはこちら。 2011年上半期新作映画ベスト10
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