モテキ/和製「(500)日のサマー」

モテキ 映画

モテキ監督:大根仁/2011年/日本


人から好かれるのは、気持ちの良いことです。


漫画原作の邦画を、原作を読まずレビューするのは危険行為です。わかってはおりますが、今回も原作は読んでおらず、ドラマも未見のままに、「モテキ」レビューです。繰り返しになりますが、映画としての感想であり、原作やドラマとは切り離して読んでいただければと思います。

あらすじ:出会った、惚れた、キスされた、迫られた、ヤッた、でも、俺、どうしよう。

モテキ 映画

主人公、藤本幸世(森山未來)。ナタリーの新人編集者です。これ、ドラマ版の続きなのかな? なんかそんな気がします、もしそうだとしたら、違和感を感じさせることなくつなげてあってとてもいいですね。

関係ありませんが、絶叫機械+絶望中止の麻草郁くんが、森山未來にびっくりするほど似ていて、きれいな麻草だなあと思いながら見ていました。

森山未來は、雑誌編集者の松尾みゆき(長澤まさみ)とTwitterで知り合います。趣味の合うかわいい女の子で、しかもガードがゆるゆるなため、ころっと彼女に惚れてしまうのでした。

ネタバレしています。


おすすめ
ポイント
役者はみんなとても良かったです。「(500)日のサマー」がなければもっと褒めていたと思います。でもだいたい褒めていますよ。
モテキ 映画これ、本当に「(500)日のサマー」にそっくりなんですよね。話もそうだし、踊りだしたりするし。「主人公がたのしい気持ちになったので踊る」というのはもちろん「サマー」が最初じゃないですが、話が似ているのですごく「サマー」っぽい。

森山未來は身体能力が高く、動きがおもしろいんです。ベッドの上をぴょんと乗り越えるシーンなんか、狭いところであの動きはすごいし、演技もいい。主人公の動きを見ているだけで楽しいっていうのは、すごくいいことだと思います。

長澤まさみ麻生久美子もとても良かったです。麻生久美子が泣きじゃくるところとかすごくいいです(撮り方が悪くてもったいないと思いました)。
モテキ 映画リリー・フランキーは本人そのままなんじゃなかろうかという大人のチャラさ、金子ノブアキの面構えも役に合っていて非常に良かったです。役者に関してはまったく文句のつけようがありません。

ただ、キャラクターの性格付けは、森山未來と長澤まさみ、リリー・フランキーと金子ノブアキ以外はちょっと弱かったです。弱いというか、書き割りなんですよ。
ナタリー社員のみなさんとか、かんぜんに森山未來のために動いているんですね。それはそれで、脇役ですから良いのですが、じゃっかんご都合主義的ではある。森山未來の自意識過剰さを表現しての設定ということであればまあ、納得です。脇役の扱いも「サマー」っぽいなあ…。
モテキ 映画森山未來の先輩である真木よう子、まっとうなことを言っているかと思ったら、見当違いで都合の良いアドバイスをしたりするんです。

もちろん「正しいようなこと」を言う人が「常に正しい」わけではありませんから、いいんですけれども、それでも、最後のところで森山未來にエールを送るのは、さすがに違うんじゃないですかねえ…。よう子さん、そこは叱ってもいいところですよ…。

麻生久美子も、彼女の演技自体はよいのですが、恋愛体質のOL、というほどに依存症的な面は(泣き叫ぶところまでの間には)見受けられない。それであれだけ言われてしまうのだからきのどくになってくる。彼女との関係、彼女がどういう人かについてはもうちょっと掘り下げてほしかったですね。この人はとくに、大切なキャラクターですので、もうちょっと丁寧に扱ってほしかった。うん。
モテキ 映画音楽のことですけれど、なにかと日本のラブソングが流れるんですね、しかも微妙に古いの。新しいのもあるけれど、ほとんどの楽曲がちょっと古いの。

わたしは30代なので、ほとんどわかります、知っていますけれど、30代だからこそ、こうやって流れているとすごい小っ恥ずかしいわけです。今これなの? TMネットワークがこういう扱いなの? とか思う。でも、これがいいのかなー。

描かれる恋愛の青臭さと、主人公らの設定年齢がちょっと合わないようにも思うわけです。でも、これがいいのかなー。30代でも、恋愛ってこんなものなのかなー。
モテキ 映画で、登場人物の心情と、歌詞が完全に一致しておるわけですね。これねー、バラエティ番組でいちいちテロップが出るみたいでさ、演技を見ていればわかることを、さらに歌詞でも言われてしまうと、ちょっとしつこいんですよ。

この映画見る人は元の楽曲をほとんど知っているっていうのが前提っぽいんで、いっそヴォーカル抜いちゃっても…と思うくらい、歌詞で心情を表現しすぎだったなあ。でも、これがいいのかなー。
モテキ 映画相手のことを好きだと気づくシーンとか、遠くのマンションの窓がハート型に光るんです。うーん、こういうのもさ、役者の顔を見ていればわかるわけ。せっかく役者の演技が良いのですから、そこまでしなくてもと思うんです。でも、これがいいのかなー。

という疑問も持ちつつ、どうにかして映画を面白く見せようというくふうはじゅうぶん感じるわけ。とにかくあの手この手で観客を楽しませようというサービス精神がある、これはたいへんりっぱなことだと思います。最近見た邦画、そこんとこ抜けてたので。
モテキ 映画(500)日のサマー」を見たときにはサマーの言動がひとごとと思えず戦慄したものですが、今回はそんなでもなかったですね。「この映画、サマーっぽいなあ」と思いながら見ていたせいもあるのでしょう。

それに、「(500)日のサマー」ではサマー側の言い分はなかった、「あのくそ女、わかんねえ。ビッチめ」と突き放していた。でも「モテキ」では長澤まさみ側の言い分もちゃんと入っていますので、彼女は彼女なりに傷ついたり、悩んだりしたのだとはっきりきっぱりわかるんです。そこはとてもほっとしました。まさみちゃん悪い子じゃないよ!
人に好かれたいというのは、誰でも同じなんです。だからみんなモテたいって言うんです。
だって、人に好かれるのは気持ちの良いことだから。誰だって、気持ちの良いことは好きなんです。

でも、自分は人に好かれたいのに、相手が人に好かれているようすには嫌悪感をいだきなにかとセックスセックス言い罵倒の言葉を口にするのは、ちょっと見ていていい気分ではないね。わたし、「ビッチ」とか「リア充爆発しろ」って言う人って好きじゃないんですよ。劇中では「リア充爆発しろ」ってセリフはなかったと思うけれど、まあ、まあ、幸世はそういうこと言うタイプでしょ。わたし幸世みたいな人ほんと好きじゃない。

なんかね、人生を謳歌している人間は傷つかない(もしくは、傷つけてもイイ)からひどいことを言ってもイイんだと思っているように感じてしまう。でも、それも、嫉妬心と思えば、わかることなのです。なんだかなーとは思うけれど、妬ましい気持ちはわかる。スプラッタ映画でチャラチャラしている若者が殺されるのと同じことよね。陰口たたくより殺すほうが健康的に見えるっていうのもどうかと思うけれど(笑

だから、気持ちわかるけど、好きじゃないけど、でもわかるよ。人の幸せ、憎いよね。幸世みたいな人好きじゃないっていうのは、自分も幸世みたいに人を妬ましく思う気持ちがあるからなんだろうね。

ただ、ひとつだけどうしてもそれはないだろうと思うことがあるんですよ。

ラスト、森山未來が嫌がる長澤まさみをぬかるみに押し倒してキスをする、長澤まさみは超いやがっている。んだけれど、しばらくすると笑い出して、笑いながらキスに応じはじめるのです。えっ! ちょっと待って、それはないわ! だって、相手が嫌がっていても、無理に好意を押し付ければ応じてくれるということで、行き過ぎるとレイプ肯定と同じになっちゃうんですよ。森山さん、あなた、麻生久美子にすごい迫られて、嫌がってたじゃないですか。人からされて嫌なことでも、俺が誰かにするのは良いんだ、って、それはないよ…。

せめてあれが、森山未來の妄想であったなら、まだよかった…。もしくは一発殴られてくれれば…。

原作やドラマを見ていない観客にもやさしい導入、テンポがよく、盛り上げようとはりきっているのもわかるし、いらないシーンもあんまりない。役者はみんながんばっているし、森山未來がおもしろい。演出過剰さは諸刃の剣ではありますが、ケレン味もあるし、全体的には良かったと思います。だからこそラストがね…。

photo
モテキ Blu-ray通常版
東宝 2012-03-23
評価

by G-Tools , 2012/03/09

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