4デイズ/神の仕事 VS 俺の仕事

4デイズ/UNTHINKABLE

4デイズUNTHINKABLE/監督:グレゴール・ジョーダン/2010年/アメリカ


サミュエル・L・ジャクソンが、テロリストをこれでもかと拷問します。


4デイズ/UNTHINKABLE

ラッセル・クロウ主演のサスペンス映画「スリーデイズ」、サミュエル・L・ジャクソン主演のサスペンス映画「4デイズ」、ルパート・フレンド主演の戦争映画「5デイズ」と、今年は秋に似たようなタイトルの映画が3本もあってややこしくて大変ですよね。しかも「◎デイズ」じゃ内容がよくわからない。

数字デイズものは他にも1998年のハリソン・フォード主演映画「6デイズ/7ナイツ」、2007年の韓国映画「セブンデイズ」、2002年のアンソニー・ホプキンス主演映画「9デイズ」、2000年のケヴィン・コスナー主演映画「13デイズ」、2007年のジョシュ・ハートネット主演映画「30デイズ・ナイト」、2004年のジャッキー・チェン主演映画「80デイズ」などがございますがわたし1本も見ていませんでした。(ここまで、昨日と同じ)

あらすじ:テロリストが核爆弾を仕掛けたというので、場所を吐かせるため拷問します。

ネタバレはありません。


おすすめ
ポイント
拷問シーンは実はそんなに痛そうではないので、痛いの苦手な人でも見られると思います。
サミュエル史上最強キャラの名に恥じぬきちがいぶり。
4デイズ/UNTHINKABLE

主人公はヘレン・ブロディ捜査官。キャリー=アン・モス。FBIです。良識的で頭の切れる普通の独身女性です。

CIAに雇われた、謎の特別尋問エキスパートであるHさん(サミュエル・L・ジャクソン)、Hさんはちょうやばいやつらしくて、家族にも本人にも接触するなというお達しが出てる。いったいなにものであるか。

軍とFBIとCIAがその場にいるし秘密も多いものですから、みんな、自分とこがえらい、自分とこの情報は出せませんとか言ってツンツンしているの。やなかんじよ。


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組織に属していて制服を着ている(=所属が明らかになっている)人たちの中に、私服なうえに本名すらわからないHさんがぽんといる。私服の人は服装から多少なりとも人となりが推し量れたりするものだが、まったくわからないの。だんだんわかるけれど、やっぱりわからない(笑

拷問される犯人は、アメリカ人でムスリムのユセフさん。すごく賢いタイプというわけではないが、とにかく怖いものがない。マイケル・シーン。元軍人で、イスラム教に改宗しました。


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なにせ軍のやり方はわかっているもんだから、水ぶっかけられているときも、これは必要なことなんだと言ったりする。やりにくいことこのうえない。とはいえ、超よゆうぶっているわけでもないし、弱いところもある。

この、犯人の設定と人物像がいいなあと思って、ムスリムだけれどアラブ人ではないんですね。もちろんムスリムがみんなアラブ人というわけではないが…このへんの微妙な、デリケートな(とわたしは思っている)問題をですね、犯人はアメリカ国民だという、アメリカ国民で(たぶん)中東の血が入っていない人だという設定にして、なんというか、人種差別的な問題を回避しているように思えるんですね。わかんないですけれど。


4デイズ/UNTHINKABLE

とにかく、犯人がアメリカ人で、アメリカのやり方に異を唱えるというのがいい。これがアメリカ人でなかったなら、「とはいってもお前、お前のとこの国とうちの国とじゃいろいろさ、違うんだよ」ってなりかねない。

しかも犯人の要求そのものは、しごくまっとうであったりするわけ。もう、その要求を聞いて、みんな「う、うーん…」と、さもありなんといった様子でちょっと困ったりしている。

人物としては、上にも書いたとおり、すごく賢いという感じはあんまりしない。冒頭の、ビデオを撮っているシーンなんかも、何度も撮り直したりしていてあまり「かっこよさ」はないのね。かっこよくちゃいけない。

Hさんのキッツイ拷問と、ヘレンさんの優しい尋問との繰り返しでよよよっとなって証言をしちゃう、弱いところもあるわけ。こういうところも、人間らしさ、等身大感みたいなのが出ている。テロを計画する人間だって、「ふつう」の人なんだよねという、まあ当たり前といえば当たり前のところを見せてくる。


4デイズ/UNTHINKABLE

だからといって犯人が完全にヘレンさんに流されるわけでもなく、計画に関してはシビアに考えているところもいい。拷問につぐ拷問でへたってしまって、はあふうと荒い息をついていたと思ったら、これくらい想定の範囲内ですよと、にやっと笑ったりする。

そりゃ、苦労して核物質をロシアから運んでさ、爆弾作って、アメリカのあっちこっちに設置して、ビデオ撮ってさ、大変だったと思いますよ。ひとりでやる計画じゃないですからね、これだけ苦労したんだから、そりゃあ何があっても完遂したいでしょう。なんて、テロリストの苦労なんかに思いをはせちゃうほどに、この犯人は「普通の人」なんですよね。

普通の人、普通のアメリカ人が、しごくまっとうな理由で、虐殺を行おうとしておる、アメリカを潰そうとしておるわけです。テロリストを絶対的な悪として描いていた時代は終わったのだと、911から10年たった今、こういう映画が出来てくる、アメリカが次の時代に突入したような気すらしてくるのです。


4デイズ/UNTHINKABLE

Hさんのほうは、最後の方とかもう完全に頭のおかしい人のようになっておるのだが、しかし、やはりこの人の言っていることも間違ってはいない。

今までは映画で犯人が捕まっているとき、拷問をしたくてもできない、というのがほとんどだったのだけれど、この映画はそこのところを軽く飛び越えてしまっているっていうのがすごくいいなあと思いました。
できなかったことをやる、どうせやってんだろうってみんなが思っていたことをやっちゃう。


4デイズ/UNTHINKABLE

しかし、タイトルの「予想外」なことをHさんがやろうとすると、周りがみんな顔面蒼白になってしまうの。

拷問の手伝いをしている出来るプロが一人いるのだけれど、その人ですら「それはちょっと、まずいんじゃないですか?」といったようすで引いてしまうんですね。正しいことはひとつしかないはずだし、解決方法もひとつしかないはずだが、もう、わからなくなってしまう。

しかも、犯人像が上記の通りなので、なんとなくいいかんじに説得してメデタシということは、ないわけです。


わたしがこの映画をすごく気に入った理由の一つに、犯人にせよHさんにせよ、「自分の仕事」をやりとげる、というのがあります。常々申し上げておるが、映画で男が仕事や使命をきっちりこなせないようすが非常に不愉快であるのね。これ、ようするにヒーローにはヒーローらしくあってほしいという、格好良くあってほしいという希望なのです。この映画にヒーローが居るのか? ということはおいといてだな…。

ともかく、わたしにとって格好良いというのは「仕事や使命を遂げること」であり、情に(とくに恋愛感情に)流されて欲しくないの。現実的にはそうそううまくいかないことなどわかっているのだが、せめて映画の中だけは、ポリシーを持って始めたことを成し遂げて欲しい。やると決めたからには、やってくれ! やりとげてくれ! とね、その仕事が、正しいかどうかというのは、もう、この際どうでもいいことです。

photo
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ソニー・ピクチャーズエンタテインメント 2012-01-25

by G-Tools , 2014/07/22

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