朱花(はねづ)の月/河瀬直美の「ツリー・オブ・ライフ」

朱花(はねづ)の月

朱花の月監督:河瀬直美/2011年/日本


女が二股をかけたり悪夢を見たりします。


「はねづ の つき」と読みます。朱花というのは色の名前のようです。
河瀬直美監督の映画は始めて見ました。去年の「玄牝」の概要をネットで見て「うわあ…」(うわあ…の内訳はご想像ください)と思ってそれっきりですね。今回、河瀬直美監督作と知らずに見ましたよ。

あらすじ:女が二股をかけたので男が困ります。

山を男女に見立てた万葉集の歌がね、ところどころに入ります。正直何を言っているのかわからない。声が二重になってるしぼそぼそ話すので聞き取れないんですよ…。それでもかろうじて聞き取れたのは、「今も昔も男2人が1人の女を取り合って争うのじゃよ」ということでした。

ネタバレしています。大オチのバレはありません。

おすすめ
ポイント
血もおっぱいも幽霊も出ます。
朱花(はねづ)の月主人公は染色家です。加夜子。大島葉子です。恋人の(恋人だったのか、夫婦かと思っていた)哲也(明川哲也)と暮らしています。哲也は地元のPR雑誌の編集をやっているらしい。で、加夜子は浮気しています。相手は彫刻家の拓未(こみずとうた)。ふたりは哲也がいないときとかにこっそり会っておる。

加夜子サンはねー、男の趣味がブレないね。ふたりともゾロッとした長髪で、料理がうまくて、なんとなく神経質そうっていう。ほんとすごく似ているんで、別にどっちでもいいんじゃねーのとは思ってしまうね。そういうものではないのか。ないのだなあ。
朱花(はねづ)の月で、加夜子サンはあっちと仲良くしたりこっちと仲良くしたり「さみしいの…」って言ってみたり「好きな人ができたの…」って言ってみたり「妊娠してるの…」って言ってみたりするわけです。

そして何かと悪夢を見るのね。男が(これもやはりゾロっとした長髪でヒゲなので、最初拓未かと思ったんですがどうも違うっぽい)顔にカマドウマのせて
うぅ〜 うぅ〜」ってつらそうにうめいているんです。どんだけ夢見わるいの、どんだけなの。
朱花(はねづ)の月一方、村では古都の発掘作業が行われています。それから、加夜子の祖母・妙子(大島葉子)と拓未の祖父・久雄(小水たいが)は、戦前、好き合っていたけれども離れ離れになったらしいということがわかったり、ふつーに兵隊サンの幽霊がいたりとかですね。

それであの、集落の美しい自然がバーッと映ったりするわけです。加夜子と拓未の関係は、偶然にも先祖から引き継いでしまったわけです。加夜子が祖母の恋心に思いを馳せるとき、拓未は発掘作業によってあきらかになる自分の居場所について思いを馳せるんですな。
朱花(はねづ)の月加夜子サンは家でカナリヤを1羽飼っておりまして、鳥かごでぴよりぴよりと鳴いているんです。浮気相手であるところの拓未の家の天井にはツバメが巣を作ってヒナを育てておるわけです。

加夜子サンは、家ではキレイな鳥かごに入れられてぴよぴよ鳴くだけだけれども、拓未と一緒にいれば自由に空を飛べるし子供も育てられる、生きているかんじがする! っていうことなんでしょう。
朱花(はねづ)の月余計なことを言いますけれども、ツバメが家の中に巣を作ると、親がとってきた虫の残骸やら糞やらが床にぶちまけられてしまうので、巣の真下で見上げながらご飯食べつつニッコリ、みたいなのんきなことはできないと思うんですよね…。

ともかくですね、加夜子サンはどうやら拓未とくっつきたいと思っておるらしい。

妊娠もした。哲也に「好きな人ができた」とも言った。しかもおっそろしく最悪なタイミングで言った。あれは最低だと思う。哲也はそれでもやさしい。意外にいいやつだった。もしかしたらこのまま解ってくれるのかも?
別れてくれるのかも?
朱花(はねづ)の月と思って見ていたんですけれども、加夜子サン、ここから意外な行動に出るんですね。これが意外すぎて、なんかこう、『おまえ…なにがしたかったんだよ…!!』と思わざるをえないというかですね、わからん。なんなんすかねこの人は。メンヘラなんですか? メンヘラ(深刻な精神疾患ではなく、人にかまってほしいから迷惑行為をはたらく人という意味で侮蔑的に使っています)にしてはあまりに自滅的というか…。

そうか、破滅したかったのか、全部ぶちこわしたかったのかな。そう思うとこの人、ものすごい頭おかしいようにも思えます。頭じゃないなあ、心か…。
朱花(はねづ)の月上にも書きましたけれど、「今も昔も男2人が1人の女を取り合って争うのじゃよ」とまとめるのですが、あの、争ってないんですよ…。哲也と拓未は、会ってすらいないんですよ…。言ってることとやってることがちょっと違うんじゃない? って思っちゃう。

それはともかく、男女の痴情のもつれという個人的な問題を、万葉のことばや大自然、いにしえの人々との関係などと絡めて、なんとなくどこもかしこも心情風景っぽく描く、という語り口がですね、「ツリー・オブ・ライフ」っぽい。
朱花(はねづ)の月暗くてキリスト教要素がなくこぢんまりしている「ツリー・オブ・ライフ」というかですね。そこまで違うともう別のものなんですけれども、なんとなく同じ箱に入っているかんじがする、っていうくらいの類似性ですよ。「朱花の月」も「ツリー・オブ・ライフ」も第64回カンヌ国際映画祭に関係していますね。

哲也も拓未もまったく加夜子に頭があがらないようなところとか(なんだかふたりとも加夜子に対して優しすぎる、気の毒)、加夜子の、わたしからみてみればまったく意味が不明で自己中心的な行動とか、好き勝手やっているくせにどこか被害者ぶっているように見えてしまうところとかが、すごいイヤなかんじなんですよね。
そんなこんなで特に好きな映画ではないし、見ていて楽しいとかないんですけれども、これはこれでいいんじゃないですかね…。と、書いておいて思いましたが、「この映画、好きな人は好きだと思います」みたいな感想って、ぜんぜん意味ないですよね…。人を傷つけないために使っていましたし、今後も使うでしょうけれど、もうちょっとちゃんと考えてものをいわないとだめだなー。

photo
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by G-Tools , 2014/07/22

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