先生を流産させる会/先生、妊娠してるんだよね。気持ち悪くない?

先生を流産させる会Let's-Make-the-Teacher-Have-a-Miscarriage Club/監督:内藤瑛亮/2011年/日本


「生まれる前なら、死んだっていいんじゃないですか?」


2009年に実際に起きた、中学生男子が妊娠中の教諭にいたずらをした事件をモチーフにしています。
自主制作映画です。タイトルと予告を見た時には不快な気持ちになりましたし、こんな映画作って大丈夫か? と思いましたけれども、本編を見てみましたら、62分の中にみっちり詰めこんだ感じがとても良かったです。

先生を流産させる会(Lets-Make-the-Teacher-Have-a-Miscarriage Club)

あらすじ:妊娠した担任教師を流産させるため、女子中学生がいたずらをする。

実際の事件ではいたずらをするのは男子生徒ですが、映画では女子中学生になっています。登場人物は、体育教師と校長を除き全員女です。妊婦、思春期の少女、母親という、立場の違ういろんな女が出てくるんですね。


おすすめ
ポイント
インディーズ映画です。とても出来がよいです。
「告白」が好きな人におすすめ。
先生を流産させる会(Lets-Make-the-Teacher-Have-a-Miscarriage Club)

妊娠4ヶ月のサワコ先生(宮田亜紀)は、少し厳しい教育方針のため生徒から嫌われています。教師としてはまあ、普通なんですけれど、ちょっと言葉遣いにトゲがある。とっつきにくいわけです。

ミズキ(小林香織)たち5人の生徒は、先生が妊娠していることを知ります。
妊娠してるっていうことはさ、セックスしたんだよ。気持ち悪くない?


先生を流産させる会(Lets-Make-the-Teacher-Have-a-Miscarriage Club)

少女から大人になろうというとき、性に対して不快感を覚えるか、興味を持つかのどちらかでしょう。先生に対する不快感と、性に対する不快感がくっついてしまう。セックスの結果が先生のお腹の中にいる、だから流産させてしまおうという。

ミズキは万引きした指輪を仲間全員の左手の薬指にはめ、「先生を流産させる会」発足の儀式を行います。この、指輪という小道具の使い方もとてもいい。彼女たちが儀式を行う場所は廃墟となったラブホテルで、当然性の意味合いがものすごく強いわけです。


先生を流産させる会(Lets-Make-the-Teacher-Have-a-Miscarriage Club)

ミズキの仲間のフミホは、一連のいたずらに対してためらっているようなそぶりを見せます。

フミホの母は過保護で、先生にもクレームの電話をかけたりしているわけです。フミホの足を母がマッサージする、愛情がやや歪んでいるとわかるシーンがあるんですけれども、これもすごくいいですね。

母親が好みの服を買ってきて着せようとするとかはわりとありがちだと思うんです、でも奉仕の意味合いを持った肌のふれあいがあると『気持ち悪く』感じる。あっ、ちょっと異常だな、と思うわけです。


先生を流産させる会(Lets-Make-the-Teacher-Have-a-Miscarriage Club)

一方でミズキの母親はいっさい出てきません。母と子の関係がないんですね。

ミズキはプールの授業中に(おそらく)初潮をむかえてしまう、彼女は子どもたちの中でももっとも大人の女に近い。そういう少女が、胎児はいつから人間なのか、生まれていなければいなかったのと同じなんじゃないのか、と言うから恐ろしい。彼女には「成長していく身体」への嫌悪感があり、それは自分が存在している理由に対する嫌悪にもつながっていくわけです。


先生を流産させる会(Lets-Make-the-Teacher-Have-a-Miscarriage Club)

先生はね、全体的にちょっとわかんない。いたずらされはじめてからずっと怒ってるんですね。怒るのはわかります、怒って当然ですけれど、ラストあたりはどうもミズキを許しているっぽく見えてしまう。

許す理由はないんです。教師である前に女であるのならば、奪われた悲しみを表してもよいのではないかと思うんです。「子供を殺されたら、殺した人を殺す」と言うのですから、殺すべきでした。


先生を流産させる会(Lets-Make-the-Teacher-Have-a-Miscarriage Club)

画作りに関しては、これはもうすごくよくできてます。
自主制作映画って、照明やカメラワークがいまいちだったり、たぶん監督が気に入っているであろういらんカットが入っていたりするもんですけれど、この映画はものすごく「映画」です。

ミズキがあぜ道を歩く、そこをカメラが回りながらとらえているところとか、理科室の机を渡るシーン、空き地に風車が回るシーン、夜のシーンの光の当たり方とか、はっとするくらい美しかったりする。編集もすごくうまい、あれ? っていうところはほとんどないです。


センセーショナルな内容を取り扱っているけれども、悪趣味にすることなくまとめてあると思いました。良かったです。ミズキ役の小林香織の存在感も抜群でした。
photo
先生を流産させる会 [Blu-ray]
キングレコード 2012-10-09
評価

by G-Tools , 2014/04/18

JUGEMテーマ:邦画
この記事のトラックバックURL

※記事の内容に関係のないトラックバックは削除する場合があります。
※トラックバックの反映には時間がかかる場合があります。
※リンクのないトラックバックは反映されません。

トラックバック
中学生グループによる妊娠中の教師への悪質な嫌がらせ、という実際にあった事件を題材にした「先生を流産させる会」。余りにもセンセーショナルな内容で、ようやく劇場公開にこぎつけた内藤瑛亮監督にお話を伺った。【page1/3】
  • INTRO
  • 2012/05/12 3:44 PM
おじいちゃん映画
記事検索

現在1004件の記事があります。

最近の記事
週間人気記事ランキング
ブログパーツ
プロフィール
ナイトウミノワ

ナイトウミノワ

twitter flickr facebook instagram

映画と球体関節人形が好き。SF映画とコメディ映画、アクション映画、おじいちゃん俳優好き。

カテゴリ
RSS
ブログの内容を気に入って頂けましたら、RSSリーダーの登録をよろしくお願いします。
RSS
おすすめ映画
月別アーカイブ
リンク
その他
無料ブログ作成サービス JUGEM