アリス・クリードの失踪/それは、よくある誘拐事件のはずだった…

アリス・クリードの失踪(THE DISAPPEARANCE OF ALICE CREED)

アリス・クリードの失踪THE DISAPPEARANCE OF ALICE CREED/監督:J・ブレイクソン/2009年/イギリス


誘拐犯と被害者の間に隠された、嘘と愛。

これはねーすごいおもしろかったです。登場人物3人と2部屋あればおもしろい映画は作れるんだなあってしみじみ思いましたね。今回ネタバレはありません。

アリス・クリードの失踪(THE DISAPPEARANCE OF ALICE CREED)あらすじ:男が2人、廃屋を改造する。固定されたベッド、遮音材を貼った壁、いくつもの鍵をつけた頑丈な扉。2人は無言である。バンを用意し、目出し帽をかぶる。泣き喚く女を車に押し込み、ベッドに縛り付ける。

誘拐犯は、刑務所仲間のヴィック(エディ・マーサン)とダニー(マーティン・コムストン)。主導権を握っているのはヴィックである。彼はダニーに強い口調で命令する。女を見張れ、寝るな、遊びじゃねえんだぞ。
ダニーはそんなヴィックの態度をこころよく思っていない。計画がうまくいくか不安でしかたないのだ。
おすすめ
ポイント
わたしはすごく好きだけど、評価はわかれそう。ネタバレは厳禁です。
サスペンス映画のふりをしたラブコメだと思っています。
アリス・クリードの失踪(THE DISAPPEARANCE OF ALICE CREED)誘拐された女は大富豪の娘、アリス・クリード(ジェマ・アータートン)。

白昼突然襲われ、無理やり着替えさせられ、猿ぐつわをかまされ、裸の写真を撮られる。
トイレに行きたいと訴えると、ダニーが尿瓶を持ってきた。ガーン。
アリス・クリードの失踪(THE DISAPPEARANCE OF ALICE CREED)映画が始まって最初の10分で交わされる言葉はたった一言なんですね。ずっと無言で誘拐犯が監禁部屋を作り、誘拐します。監禁部屋を作る、っていうのがまず良いですよね。ホームセンター行って材料買ったり、ベッドを見に行ったりしますよ。新婚なの?

それからトイレね、監禁ものでトイレに行きたいと言ったときに尿瓶が出てくるのってあまりないような、少なくともわたしは初めて見ました。こういう、ふだんスルーされがちなベース部分のリアリティみたいなのはえらいと思いますね。
アリス・クリードの失踪(THE DISAPPEARANCE OF ALICE CREED)全裸を惜しみなく披露しているジェマ・アータートンもえらいと思います。さすが指が6本あった人は違いますね。うそ、言ってみただけです。指が6本あったのはほんとうです。赤ちゃんの時に切っちゃったんだって。
アリス・クリードの失踪(THE DISAPPEARANCE OF ALICE CREED)さて、役者がそろいました。この3人であれやこれやするわけです。ははあ、これはストックホルム症候群とか、そっちのほうに行くんですかな? と、思う間もなく驚きの事実が明かされます。

この時点で物語は起承転結の「承」のところで、あの、ネタバレといったらふつう「転」「結」あたりをバラすことだと思うんです、だからいつもだったらこれ、書いちゃうんですけど、わたしなにも知らずに見てひっくりかえったので、みんなにもひっくりかえってほしい…。
アリス・クリードの失踪(THE DISAPPEARANCE OF ALICE CREED)この映画、サスペンスなんですけど、新展開を迎えるたびにめちゃめちゃ笑っちゃうんですよね。

じゃあサスペンス風のコメディなのか? といったらそういうわけではなく、登場人物はちょう真剣だし、やるかやられるかでピリピリしてんですよ。そのピリピリがこっちにも伝わってきて見ててハラハラするときもあれば、あまりのことに爆笑してしまうときもある、というかんじでですね、いやあ、楽しかったなあ。
アリス・クリードの失踪(THE DISAPPEARANCE OF ALICE CREED)3人の登場人物、このバランス感はものすごい。登場人物が少ないから、それぞれのキャラクターをきちんと作りこまないと不均衡が生じるとおもうんですけど、これはねーよくできてます。

全員に感情移入できるんです、でも全員がちょっとずつイヤなところも持っている。誰か一人を悪者にしてしまえば簡単なことなんだと思うんです。見ているほうもそっちのが楽かもしんない、でもそこをね、全員平等にしたのがすばらしいと思います。全員平等だから、どういう方向に進むのかも予測できないんですよね。
誘拐事件としては無理のあるようなところも、もちろんありますよ。でもこの映画が非常によくできていると思うのは、実はこれって単なる男女の痴情のもつれじゃんよ! っていうところで、現実にありうるんです、この3人がお互いに抱く気持ちって。現実的に考えるとアリスが男でダニーが女だと思うんですけどね。こういう女いますよ。

ネットでほかの人の感想を少し読んで見ましたが、ラストがちょっと…という意見が多かったですね。ラストはね、落としどころとしてはあれ以外にないです。でも、ちょっと…と思った人の気持ちもわかる、なんでかというとですね、それまですごい盛り上がりを見せていたのに、ラストちょっとだけ熱が下がるんですね。たぶんそのほんの少しの感じが、残念なんだと思われているんじゃないでしょうか。

アリス・クリードの失踪(THE DISAPPEARANCE OF ALICE CREED)で、終わり方としては完璧なのになんでそう思われるのかというとですね、やっぱりこの映画が男女の痴情のもつれ(めったに書かない言葉なので何度も書いてみた)であるっていう点だと思うんです。

男女がもめにもめて泥沼の修羅場に突入しているところを傍でにやにや眺めていたら、さっきまで罵り合っていた男女が急に静かになっちゃったみたいな感じね。あれ、みっともないところ、もうおわり? もうひと炎上してくれよ、っていう。もうそれはほとんどウォッチャー目線で、言っちゃえば下品な要望なんですよ。
とにかくテンポがよく、驚きの連続でですね、映画に重要なものはきちんと入っている。
紹介サイトで「次代のクリストファー・ノーラン」って書いてるところもあるんですが、たしかに「メメント」が出てきたときのかんじに似てるかもしれません、この驚きは。内容が似ているっていう意味ではないです。あの、なんじゃこりゃ感、なんじゃこりゃよくわからんがおかしなものを見たぞ感がですね、似てるなあって思うんです。

J・ブレイクソンがクリストファー・ノーランと違うのは、お笑い要素を突っ込んできたところだと思いますね。まじめにやってんのに笑えるってすごいじゃないですか? みんな真剣なんですよ! 笑わそうなんてしてないのに超笑えるの! これはねーおすすめですよ。

photo
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東宝 2012-01-27
評価

by G-Tools , 2013/09/25

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