「告白」は10年後どうなるか - 「バトル・ロワイアル」と「告白」について

バトル・ロワイアル

「告白」は10年後どうなるか?「バトル・ロワイアル」と「告白」について

学生のみなさん、ご卒業おめでとうございます。先日、「バトル・ロワイアル」を見ました。2000年公開の映画ですから、実に11年ぶりです。
わたし、「バトル・ロワイアル」公開当時には、メチャクチャ怒ってたんですよ。
死に対する緊迫感が感じられない。死にたくない、と口では言っているけれど、それがまったく伝わってこない。全体的に役者の演技が下手で、個性がない。
(中略)
この作品が映画化されると聞いた時に期待したのは、「かっこいいカメラワークの緊迫感ある映像」だった。もっと若い監督を使った方がよかったんじゃないか、と思ったのは、とにもかくにも映像が、音楽が、セリフまわしが、ダサすぎたからだ。野暮ったい。

バトル・ロワイアル | 映画感想 * FRAGILE
今読むと、この怒り狂いぶりが恥ずかしいですが、でもまあ、演技がへたなのは確かなんですよね。演技がへただから、『死も愛も悲しみも薄っぺら』っていうふうに見えてしまっていました。

告白
告白」、こどもがこどもを殺すこと、小説の映画化、15禁、話題になったことなど、「バトル・ロワイアル」と近い部分が多い映画だと思うのですよ。思いますよね?
「バトル・ロワイアル」から10年後、「告白」を見たわたしは、やっぱり怒っていました。
とにかく、映像をいじりすぎていてどこにポイントを置きたいのかわからない。

映像で登場人物の心情などを表現するのは映画として当然のことなのだけれど、それはそれをやる意味があるシーンでのみやるべきであって、どこもかしこもそれでは汲み取りようがない、あるはずの意味がなくなるんだよ。
(中略)
殺人シーンの扱いが雑すぎる。この映画でそれは大問題だと思う。
(中略)
ただ残酷にしろと言いたいわけではない。殺人シーンをきっちりリアルに映さないのであれば、この映画が投げかけている「問題」から目を逸らしていることと変わりない。

殺人シーンの扱いが雑/告白 | 映画感想 * FRAGILE
「告白」は、見てから1年も経っていないので、こう書いたことを今も同じように思っています。

では、「バトル・ロワイアル」と「告白」を比べてみます。

バトル・ロワイアル「バトル・ロワイアル」と「告白」における、『大人』の描き方について。

キタノ(北野武)は姪っこ娘(はてブで指摘がありました、ありがとうございます)と電話するときと中川(前田亜季)に対して人間的な面を見せますが、それ以外は非情なモンスターです。高圧的に「子どもが悪い」と断じ、またみずからの手で生徒を殺します。生徒にとって、彼はわからない人です。

告白森口(松たか子)はどうでしょう。生徒の前で自分の娘について語ります。感情を抑えているようにみえますが、内容はたいへん感情的です。そして、生徒は森口の話を聞いていません。森口は「子どもが悪い」と思っていますが、少なくとも冒頭の独白シーンにおいては、表には出しません。そして、彼女は生徒を殺しません。生徒にとって、彼女はわからない人ですが、同時に軽蔑の対象でもあります。
この10年間で、子供たちは何が変わったでしょうか。ゆとり教育の強化と見直し。インターネットの普及における、世界とのつながりと、個人間のつながり(インターネットは10年前からありましたが、あのころは今ほどいろいろな世代の人たちがネットを使っていたわけではありませんでした)。
でも、変わらないことはあります。いつの時代だって、大人はわかってくれない、大人のことはわからないんです。

「バトル・ロワイアル」から「告白」へ、「子どもが『わからない』と思っている大人」の描き方が変化したのだなあと思います。10年前にモンスターとして描かれた「わからない大人」は、涙を流すひとりの人間になりました。

(でも、「告白」における松たか子の人物像や、物語の内容は、「映画の」内容というわけではないんですよね。このことに関してはこちらのブログで書かれています)
だが、それらの人が映画『告白』に感じる魅力のほとんどは、原作の『告白』のものだということは憶えておいていただきたい。湊かなえが重たいのであって中島哲也が重たいのではない。

『告白』 イカれたマザコン野郎どものチンドン祭り。 (2010/日本 R15+ 監督:中島哲也 原作:湊かなえ『告白』) -
1953ColdSummer

10年前の「バトル・ロワイアル」の自分の感想を読んで、「わたしが10年前に「告白」を見ていたら、すごく気に入ったのだろうな」と思いました。
『スタイリッシュな映像』『明確なメッセージ性』『うまい演技の役者』、ぜんぶ、10年前のわたしが「バトル・ロワイアル」に欠けていると思った物です。

この10年間で映画に対してわたしが変化したことは、本数をたくさん見るようになったこと、いろいろなジャンルを見るようになったこと、くらいです。映画の作られ方や、技法に関してはあいかわらずよく知らないままです。そういう意味ではなにも変わっちゃいないんです。

バトル・ロワイアルでね、話は冒頭に戻ります。11年ぶりに見た「バトル・ロワイアル」、とってもおもしろかったんです。

演技は下手ですし(藤原竜也はうまいんですが、舞台の人なので暑苦しいんですよね)、キタノの最期もやっぱり意味わかんないです。子供たちがBR法を知らないのもおかしい。映画が訴えたいメッセージもはっきりしない。世の中狂ってるから自分の身は自分で守ろうってことなのかなあ。でも全体的には「子供殺人祭りエンターテイメント」ですよねえ…。
バトル・ロワイアル映像も別にかっこうよくはないです。銃の撃ち方もなんかヘン。でも首飛ばしたりしててえらいですよね。灯台のシーンもすばらしいですよ。仲良くしてた女の子たちが突然疑心暗鬼になって殺し合うところ。

お話がからっぽでも、キタノがいきなり起き上がっても、キタノが変な絵描いてても、キタノが水鉄砲撃ってても、キタノがロリコンでも、キタノが…やっぱわたしキタノの扱いはよくわかんないんだけど、それでもおもしろいと思う、思うようになったんですよねえ。わたしはなにも変わっていないのに。
映画として、まずいところがあっても、おもしろいと思う。初めて見たときにはつまらなくても、時が経てば面白く思えることもある。似たような映画がでてきたとき、比較することもできる。10年前、「バトル・ロワイアル」を見ることができなかった人たちが、今「バトル・ロワイアル」を見たらどう思うのだろう。10年後、また、「バトル・ロワイアル」や「告白」のような映画がでてきたとき、わたしはどう思うのだろう。そしてわたしが10年後、「告白」を見返したとき、どう思うのだろう。10年後、たのしみですね。

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  • 2011/10/05 12:08 PM
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