完全なる報復/報復させてあげてよ

LAW ABIDING CITIZEN

完全なる報復LAW ABIDING CITIZEN/2009年/アメリカ/F・ゲイリー・グレイ


報復はあまり完全ではなかったのだった。

原題だと「報復」的な要素は入ってきていないので、タイトルに偽りありと言うわけにもいかないんですが、邦題だけだと「タイトルと違うじゃないのよ」と思わざるを得ません。報復、させてあげてよ! させてあげて! 

嫁と娘を暴漢に目の前で殺されたクライド(ジェラルド・バトラー。みんな大好き「300」の筋肉番長・レオニダス王)。司法取引により極刑からまぬがれた犯人と、司法制度そのものに復讐をする。法で裁けぬ悪人を闇に葬る俺の正義。おとうちゃん、がんばるから!

LAW ABIDING CITIZEN
おとうちゃんの復讐は事件から10年後に始まります。娘と妻を殺した犯人をひっとらえて生きたままばらばらに切り刻むよ。ビデオも撮っちゃうもんね。犯人にはテトロドトキシンとアドレナリンを注射するから、身体が麻痺して動かないけど意識はあるし気も失わないんだよ。やることがえげつない。さすがレオニダス王。血も涙もないぜ。ちなみにバラバラにするシーンは映りません。バラバラになっちゃった死体は映ります。R15でもこんなもんかあ。

しかしおとうちゃんあっさり捕まり投獄されます。これからが本当の地獄だ…。
LAW ABIDING CITIZEN
検事のニック(ジェイミー・フォックス)の家には、さっきのバラバラ殺人ビデオが送りつけられ、娘がうっかり見ちゃってギャーです。

そしておとうちゃんは独房にいながら、10年前の事件に関係した人を次々と殺していきます。

例えば、当時の弁護士かなんかが行方不明になるわけです。そこでおとうちゃん「居場所知ってるよー。あ、ステーキ食べたいんだけど、持ってきてくれたら居場所教えるし。1時までにね」とね、言うわけです。刑務所の所長は、「どうせ囚人には時間わかんないからいいよね」とか言ってモタモタしてて、結局おとうちゃんのところに届いたのが1時8分になっちゃう。

おとうちゃんはステーキもぐもぐ食べながら、緯度と経度を伝えます。その場所を掘ると、行方不明の人が埋められているわけです。生き埋めね。でも、酸素ボンベついてるの。酸素なくなったばっかりなの。刑務所からその場所まで15分かかるのね。1時きっかりにステーキ持ってきてたら、酸素残っててその人助かったってことなのね。手が込んでますね。刑務所にいるのに!

LAW ABIDING CITIZEN
でねネタバレは避けますけれども、あのー、おとうちゃんはね、がんばった。10年がんばった。でもね、おとうちゃん普通の人じゃなかったんですよ。おとうちゃんは天才だったのです。ガーン。
てっきり「ハードコアの夜」的なおとうちゃんかと思いきや、「コマンドー」「96時間」的なおとうちゃんだった。筋肉番長のわりに筋肉大暴れはしませんけどもね。

天才だとわかったあたりから、物語の主人公はおとうちゃんから検事へと移ってしまいます。それはそれでいいのです。おとうちゃんがいったいどうやって独房内から復讐を果たしたのか、その謎を解かねばなりませんから、おとうちゃん目線では進められないんですよね。

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…というかほぼ最初っからおとうちゃんは「何を企んでいるのかわからないモンスター」的な描かれ方をしますから、感情移入のできる主人公ではなかったのかもしれません。冒頭でおとうちゃんに感情移入させて、だんだんそれがわからなくなっていく。そのかわりに検事のほうに感情移入していく。メインがどっちなのかわからない。そしてこのわからなさっていうのは、映画全体のテーマにもつながるように思います。
正義とは何か──。」キャッチコピーになっていますが、まさにこれなんですよね。

ラストの展開も、あれっ、そういうやり方で決着をつけてしまうのか? それでいいのか? ほんとうにそれは正しいのか? と思いますよね。映像的にちょっと爽快感があるので、やったーこれで解決だよ! っていうふうにも見えてしまうけど、それは違う気がするんだよねえ。で、こういうふうに疑問を残すのも、狙ったとおりっぽいなっとは思います。

ただね、もうちょっと、善と悪、倫理的な正しさとは何か、人の命とはなにかという大きな問題をつきつけて心をえぐってくるような…かんじにもできたのだろうになあ…とは思いますね。観終わったあとで、うーん、ほんとにあれでよかったのかなあ、なんかやりきれないなあ、とは思ったんですが、とんでもないものを見てしまった! 映画のことが頭から離れない! っていう感じはなかったんですよねえ…。もったいないですね。

photo
完全なる報復 Blu-ray Disc
ポニーキャニオン 2011-07-06

by G-Tools , 2014/07/18

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【LAW ABIDING CITIZEN】 2011/01/22公開 アメリカ R15+ 108分監督:F・ゲイリー・グレイ出演:ジェイミー・フォックス、ジェラルド・バトラー、レスリー・ビブ、ブルース・マッギル正義とは何 ...
  • 映画鑑賞★日記・・・
  • 2011/03/25 4:47 PM
『路上のソリスト』のジェイミー・フォックスと『GAMER』のジェラルド・バトラーが共演するサスペンスストーリー。突然押し入った強盗に妻子を殺された挙句、主犯は司法取引で禁固3年。怒りに燃える主人公は犯人のみならず司法制度そのものに復讐をすることを誓うのだ
  • LOVE Cinemas 調布
  • 2011/03/25 11:03 PM
ジェイミー・フォックス&ジェラルド・バトラー主演でおくるサスペンスです。 この二人の主演ということで、ちょっと気になっていました。 かなり残忍な殺人事件が起きる展開にぞっとしながらも、最後まで引き付けられました〜
  • とりあえず、コメントです
  • 2011/03/31 10:09 PM
運命には逆らえない   ペンシルヴェニア州フィラデルフィア。クライドは妻と幼いひとり娘に囲まれた温かい家庭を築き、幸せな人生を送っていた。  だがある日、突然自宅に押し入った2人組の暴漢に重傷を負わされ、家族を惨殺されてしまう。やがて、犯人のダービー
  • CINECHANが観た映画について
  • 2011/05/07 12:15 AM
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